微笑ましい ページ33
淡い薄桃色の髪飾りは、今Aが着ている着物とよく合っている。鏡を見つめながらAは、あまり表情を変えようとはしないが、心なしか少し嬉しそうである。
仏頂面でも、一応そこは女なんだな。なんてことを思いながらガキ共を後ろから見ていた。
妙「うん、やっぱりこの着物と合うわね。良かったら貰って?」
「え、…いいんですか…?」
目を丸くしてそう聞き返すAにコクリと頷いたお妙。「ありがとうございます」と鏡を見つめ、髪飾りに手でそっと大事そうに触れながら、さっきみたいに少しだけ笑った。
やはり無意識なのだろうか、アイツ自身は。でもソイツは確かに笑っている。
……笑ってた方が、断然いいってのに。
そんなことをふと頭に思い浮かべ、何言ってんだ俺はと一人苦笑した。
神「いいなー!姉御!私にも作ってほしいアル!」
妙「フフ、いいわよ」
やった!お揃いでお願いするアル!、よかったね、神楽ちゃん、なんていう会話を聞き流しながら、テーブルの上にあった黒い物体が視界に入り、見なかったことにした。あの毒物がなきゃ、微笑ましい光景だっただろうに、全く笑えない。
妙「喜んで貰えたみたいでよかったわ。いつでも遊びに来ていいからね、Aちゃん」
万事屋で働くことになったって聞いてるわよ、と言うお妙にそれに「そうなんです…」とあからさまに嫌そうな顔をするA。どういうことだコノヤロー。顔がひきつるのがわかった。
妙「理由は聞かないでおくわ。ブラック企業に勤めることになるほどのことがあったんでしょうし」
銀「そこにオメーの弟も勤めてんだけどな」
お気持ちお察しします面で言うゴリラ女に嫌味っぽく言ってやるも、ソイツは無視を決め混みやがり、
妙「でも、」
と続け、Aの髪を櫛でとかしながら呟いた。
妙「妹が出来たみたいで、なんだか嬉しいわ」
「…」
そう笑顔で言ったお妙に、「えへ、ありがとうございます」と笑って返したA。
銀「……」
…だが、後ろから見ていた俺はわかった。
鏡に映るソイツの顔が、一瞬悲しそうに、泣きそうに歪んだのが。膝の上にある両手が、強く握りしめられたのが。
その気持ちの真意を愛想笑いで隠すソイツの本当の顔が、今、どんな表情をしているのか、俺は気になり始めてしまった。
……一瞬だけ見せたその面が、焼き付いたように頭から離れなくなっちまうのも、それからすぐのことだった。
銀魂!ラッキー長篇んんん!
さらば真選組篇
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よもぎ(プロフ) - 面白いです!でも握手で右手をだされたら左手で握手っておかしい気が、、、でもかなり展開好きです! (2019年10月28日 23時) (レス) id: 445efeaafe (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - 銀魂ーーー!!!(絶叫) (2017年5月6日 22時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - 恋雪さん» 本当ですか!?感動して頂けたなら幸いですっ!!ありがとうございます!頑張りますっ!! (2017年4月5日 10時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
恋雪 - とても感動してしまい泣いてしまいました!更新楽しみにしています!これからも頑張ってください (2017年4月4日 22時) (レス) id: 9613c7c3d9 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - 龍神邪炎さん» コメント&ご指摘ありがとうございます!直しておきます!面白いと言って頂けて嬉しいです!頑張ります! (2017年4月3日 11時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2017年3月13日 23時