笑ってない ページ31
銀「んなこたねーだろ」
「え?」
そんな銀ちゃんの言葉に振り返りはせず鏡の中に映るその天パを見つめてみる。ソイツはいつものふてぶてしい顔をしているのかと思いきや、少しいたずらっぽく笑って、
銀「似合ってなかねーよ。俺が言うんだから間違いねー」
つーか、俺が着付けしてやったんだから当然だよな、とヘラヘラ笑いながらにそう言う銀ちゃん。
……まさか、ソイツからそんな言葉が私に向けられるとは思っていなくて、驚いてしまう。ていうかさっき、断崖絶壁とかなんとか言ったソイツに誉められるなんて思わない。
驚いただけ。意外だっただけ。
……決して動揺なんてしてない。
……絶対にそれ以外に他意はない。
そう自分に言い聞かせつつ、でもそう言われたのは、悔しいが素直に嬉しくなくはないというか。
「……ナルシスト」
銀「あァ!?」
と、ドヤ顔をしているソイツにそう言ってやれば、不機嫌顔がこちらを向いた。コロコロ表情が変わるのは非常に面白い。それにクスリと笑って振り返る。
「でも、ありがとね」
少しだけ笑みを浮かべてそう言えば、ソイツは一瞬だけキョトンとした顔をしてすぐに満足そうに「おう」と。
本当に、久しぶりだった。誰かに言われたそんな言葉が、そんな些細な言葉が、こんなに嬉しいと感じてしまうのは。
まだ一日だけとはいえ、私もほんの少しは心を開いていたのかもしれない。いつも一人だったから、誰かと一緒に過ごすのは、すごく変な感じだと思っていたけれど。
案外、悪くはない、のかもしれない。
そんなことをふと思ってしまったことに再び苦笑いを浮かべつつ、「皆のとこ戻ろっか」と声をかけた。
銀「おー。もう毒物はどうにかなったかねぇ…」
眉を寄せて実に不愉快だと言いたげな顔でそう言う銀ちゃん。そして襖を開けようとした私に「あ、オイ」と。
それに振り向いて何、と聞けば、
銀「お前、んな面できたんだな」
「は?」
銀「笑ってる」
今スゲー笑ってるよ、お前。と。
そうなの!?と慌てて両頬を手で覆って隠した。
「笑ってないから」
銀「いや笑ってっから」
「笑ってないっつってんでしょ」
銀「なんでキレられんの俺」
ムッとしてソイツをひと睨みすると、緩んでいたらしい頬を引き締めて、私は部屋の襖を開けた。
銀魂!ラッキー長篇んんん!
さらば真選組篇
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よもぎ(プロフ) - 面白いです!でも握手で右手をだされたら左手で握手っておかしい気が、、、でもかなり展開好きです! (2019年10月28日 23時) (レス) id: 445efeaafe (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - 銀魂ーーー!!!(絶叫) (2017年5月6日 22時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - 恋雪さん» 本当ですか!?感動して頂けたなら幸いですっ!!ありがとうございます!頑張りますっ!! (2017年4月5日 10時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
恋雪 - とても感動してしまい泣いてしまいました!更新楽しみにしています!これからも頑張ってください (2017年4月4日 22時) (レス) id: 9613c7c3d9 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - 龍神邪炎さん» コメント&ご指摘ありがとうございます!直しておきます!面白いと言って頂けて嬉しいです!頑張ります! (2017年4月3日 11時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2017年3月13日 23時