向こう ページ4
私の歩く住宅街の薄暗い路地裏からそんな声が聞こえた。一人だと思い込んでいた私は思わず情けない声を漏らしそうななる。なんとか押さえたが。
「そんなに暗い顔をしてどうしたのかな?」
優しいような、怪しいような、女の人の声だ。暗いし、フードを被っているらしく顔はよく見えないが、長い黒髪に、楽しげに微笑んでいる口元。誰なのだろう、この人は。
が、私はとりあえずそれを無視して通りすぎようとした。
「え、ちょ、ちょっと待って…!?お嬢さんって呼んでるじゃない!ノーコメント!?ノーリアクション!?」
「え、いや、怪しい人だし無視しとこうと思って」
「私の何処が怪しいと言うの!?」
「…全体的に…」
格好からも口調からも恐らくミステリアスな感じを出したかったのだろうが、最早その慌てようではそのキャラクターは無理だと思う。
というか、路地裏から声をかけてくる人なんて、怪しい人としか言いようがないじゃないか。
「と、兎に角お嬢さん…!!」
ミステリアスキャラは諦めたらしいその人はほぼ無理矢理私に話を聞かせようとする。
「ど、どうしてそんな暗い顔をしているのかな…!?」
必死に今日二回目の質問をしてくる。そんな慌てながら言う台詞じゃないだろう。どんだけ聞きたいんだ。
「……別に、貴女には関係ないでしょ」
「もういい?帰らせて」と言い捨て、私は再び歩き出そうとすると、コツコツと靴を鳴らして歩み寄ってくるその人。
「…まだ…何か用ですか」
もううんざりだという顔をして見せる。早く帰らなきゃいけないという訳でもないけど、この人と一緒にいるのもなんか嫌だ、疲れる。
軽く睨みつけながら彼女の方を振り向くと、その口は狐形をしていて。
「…そうね。私には関係ないわ。けど、私には分かるわ。今貴方が考えていること…」
「…はぁ…」
なんだ。今度は何か怪しい何かの勧誘か。しつこいな……。
「…悪いけど、宗教にも興味は……」
「この世界から消えてなくなりたい」
私の言葉を遮り、彼女は口を開いた。その言葉に、私は耳を疑い、目を見開いた。
「…自分のことを誰も知らない世界に行きたい。自分の望む世界に行きたい。……二次元に、行ってしまいたい…って…」
「……」
紛れもない。それは、
私がさっきまで思っていたことだった。
こんな世界を生きるくらいなら、
向こう(二次元)に行ってしまいたい。
バカみたいと、先程吐き捨てたものだ。
銀魂!ラッキー長篇んんん!
さらば真選組篇
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よもぎ(プロフ) - 面白いです!でも握手で右手をだされたら左手で握手っておかしい気が、、、でもかなり展開好きです! (2019年10月28日 23時) (レス) id: 445efeaafe (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - 銀魂ーーー!!!(絶叫) (2017年5月6日 22時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - 恋雪さん» 本当ですか!?感動して頂けたなら幸いですっ!!ありがとうございます!頑張りますっ!! (2017年4月5日 10時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
恋雪 - とても感動してしまい泣いてしまいました!更新楽しみにしています!これからも頑張ってください (2017年4月4日 22時) (レス) id: 9613c7c3d9 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - 龍神邪炎さん» コメント&ご指摘ありがとうございます!直しておきます!面白いと言って頂けて嬉しいです!頑張ります! (2017年4月3日 11時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2017年3月13日 23時