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二人の優しさ ページ21




阿「Aさん」

「あ、はい?」



シーンと静かな屋上に阿部さんと二人きり。

話し掛けられて横を向けば、さっくんからの合図を待つ阿部さん。



阿「この後一人で下りる事になるけど、もしこの先で危険だって判断したら、俺に合図するとか考えずに逃げるんだよ」

「……え、でも」


ゆっくりとこっちを見て、にこっと優しい笑顔。



阿「ほら佐久間が呼んでる。気をつけてね」



ふと思う。皆、私が女だから守ろうとしてくれてるのかなって。

なんか、なんかそれって、とても情けなくなる。



柵の反対側に行くまで阿部さんが支えててくれて、下りる間も「下を見ないで、俺を見て」と出来るだけ小声で励ましてくれて、なんとか目的の場所に足をかけることができた。


ホッと一息ついた時、ガッと足首を掴まれ緊張が走る。



佐「よく出来たねぇ。ほら手貸してみ!」

「さ、さっくん…驚かせないで〜」


てっきりゾンビかと思ってヒヤヒヤしたじゃない、と恨みがましく睨めば「にひひ」と笑ってるし。



さっくんに手を伸ばして掴み、腰に回したロープを解いてもらって、



佐「はい、おいで〜」

「………」

佐「ん、どったの?」

「い、いえ」


両手を広げて待つさっくんの腕に身体を預けると、ヒョイと地面に下ろしてくれた。


佐「硝子飛び散ってるから、そこで待ってて」


ああ、だから抱っこしてくれたんだ。

変に意識してしまった自分が恥ずかしいなぁ。


頬を両手で包みながらさっくんの背中を見送ると、窓から顔を出して阿部さんに合図を送っていた。







「ふっかさん、居ないのかな?」

佐「居ないね。俺が来た時にはもぬけの殻。さあて、どうすっかなぁ」



ガシャ、と背後で硝子を踏み込む音。

阿部さんも無事に下りて来られた。と、安心してばかりは要られない。



阿「居ないの?」

佐「居ねぇな」

「どうする?」



大中小と横並びになって、真ん中のさっくんを左右から見てると、さっくんはキョロキョロと私たちを見て何故か照れる。


「見んなよ〜」、て言われてもね。

なんかこの中では、切込隊長のさっくんの指示に従う流れじゃない?



阿「しっ、足音がする」


口を隠した私とさっくんは、壁に向かって音を立てずに歩いて行く阿部さんの後に続いた。




.

一、二、三→←居なくなる



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ゆきんこ(プロフ) - ayaさん» コメントありがとうございます!はい!終わりに向かってます。これからの展開どんな風に受け止めてもらえるか不安も多いのですが決めていた事なので最後まで貫き更新頑張ります!! (2021年8月15日 10時) (レス) id: bf817d2202 (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - 終わりに向かっていってるんですね!なぜこんな世界になったのか、、また困った展開も待ってるみたいですね!気になりますっ!!^ ^ (2021年8月15日 2時) (レス) id: ff23500b61 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - 涼菜さん» ありがとうございます!!不定期更新ですがお付き合いしてもらえると嬉しいです(^^)頑張ります! (2021年7月29日 22時) (レス) id: 6bfa312962 (このIDを非表示/違反報告)
涼菜(プロフ) - いつも楽しみにしています!これからも更新頑張ってください(*^^*) (2021年7月29日 14時) (レス) id: ec45b950ff (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - ふさん» ありがとうございます!彼らも前へ進みます(^^) (2021年7月29日 13時) (レス) id: 6bfa312962 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆきんこ | 作成日時:2020年11月19日 13時

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