Forest of the kaleidoscope4

呪文の意味 ページ17

手紙を読んで私達は考え込んでしまった。少なくとも、私が日本で誘拐された時、車の中で聞こえた泣き声はやはりヨンジェ君の物だったらしい
JB「郁の調べたとおりだな……財閥がハルコを攫った時、ヨンジェもいた」
YJ「でもいろいろ気になります……森は僕の第六感が発達したのは僕を気に入ったからで、猿の手は関係ないって」
「そうじゃない、多分……誤算だったのよ」
ここまで来ると、推測だけでもだいぶ過去が見えて来る
「何を願ったかは知らない。でも儀式によって財閥の会長はそれまで……300年前一族から森を奪った時から脈々と受け継がれて来た“森の子”としての資格や能力を全て失った。その事に気付いて慌ててそれを取り戻しにかかったのよ」
JB「猿の手は一度願いを叶えると取り消す事は出来ない。だから生まれたばかりで資格も何もないヨンジェに押し付けたんだ」
「その願いがきっとヨンジェ君の人格に影響を与えたのよ。よく考えて？自分の家族を見て、素直で純朴な子が育つと思う？ヨンジェ君の人格が曲がらなかったのは、その願いのためよ」
森が気に入り、愛するような子に育てばおのずと資格は手に入る。まさか彼の父親も、こんな長期的な願いになるとは思わなかったのだろう。森を知らない彼は、資格が森に出会って初めて発動される事を知らなかった
YJ「……僕、この呪文覚えてます。幼稚園かどこかで習ったのか、自分でもわからないけど気が付いたらよく呟いてた。姉に気持ち悪がられるから一人の時にしか使わなかった。お爺さんはこれは日本語で、韓国では時に差別の対象になるから言っちゃいけないって……それ以来言わない様にしてたら忘れてた」
ジェボムは私を見るが、首を傾げた
「確かに日本語よ……でも覚えてないわ」
JB「ヨンジェにこれを教えてからハルコを記憶を失ったんだな。どういう意味だ？」
「えっと…覗き込むと月が二つ、テオ……手を開くと本が三つ、鳩に木の実で呪いは解けた」
JB「……詩か？鳩に木の実って何だ」
何が何だかさっぱりわからない。私はこれを誰に教わったのだろう
YJ「郁さんならわかるんじゃない？ハルコさんが記憶を失う前に郁さんにも教えてたかも」
JB「呼べ」
ジェボムに言われてヨンジェ君がぱたぱたと走る。私はふと疑問に思った
「ヨンジェ君はほんの赤ん坊だったのよね？どうしてここまで細かく覚えたのかしら」
JB「子守歌みたいに刷り込んだとか？歌の持つ意味にもよるな。郁が知ってればいいんだけどな」

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