【第五人格】物理的災害【探鉱者】

Twenty-first ページ22

パリンと景色が割れる。

周りには木でできた長椅子がいくつも並んであり、中央のレッドカーペットの奥には十字架が見える。

ステージは赤の教会。とりあえず目の前にあった暗号機に手を掛けようとした。

小さく聞こえたパシャリという音とともに視界が光で覆われる。

何事かと思って周りを見回すと、教会の入り口付近に何か透明なものが見える。

近づいてみると、かなり高額そうに見える投影機から映し出されているようだった。

触ってみようとすると、ふわと画像が揺らめく。どうやら入れるようだ。

興味本位で入ってみると、世界が一変する。

全ての色が消え、白と黒で統一された世界が目の前に広がる。

暗号機のところにはモノクロの自分自身が突っ立っていた。

…これは一体なんだろうか。そう思いながらもそのモノクロの中で暗号機を回す。

その世界でも暗号機は回るようでカチャンカチャンと鈍い音が響く。

少し回していると、同じように視界が光で覆われる。

すでにあのモノクロの世界は消えて、色鮮やかな視界が戻ってくる。

なんだったのだろうか…？と思いながら解読機を回していると、横の入り口からイソップさんが走ってやってくる。

イソップさんはそのまま私と一緒に解読を始める。


社交恐怖とは…？？と思ったが、ここは一旦今回のハンターについて聞いてもいいのだろう。

そう思って暗号機を回しながらイソップさんに話しかける。


「あの、イソップさん。今回のハンターってどんな人なんですか？」

「あぁ、ジョセフさんのことですね」


ジョセフ、という固有名詞は昨日美智子さんが呟いていたはず。


「…写真家、っていう…？？」

「そうです。あの人はフィールドにある写真を撮ることによって、写真世界というものを作り出せるんですよ」

「もしかして、モノクロでできた…」

「その世界です。その世界でダメージを食らうと、写真世界の崩壊とともに半分のダメージを受けるんです」


イソップさんに説明してもらっていると、ボーンボーンという低い鐘の音が聞こえた。

トレイシーちゃんが攻撃を一撃食らったようで、ダメージが…なんだか多く表示されている。

イソップさんは暗号機から離れ、持っていた箱を開けた。

キイィと棺桶が現れ、バタンという音とともに中の人形が姿を見せる。

その人形にパフや筆を使って、トレイシーちゃんを描いていく。

ものの数秒でできたトレイシーちゃんの人形はまるで本物のように見える出来栄えだった。

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