【平和組】泣いても無駄だよ。【つ.わ.は.す】 (ページ17)

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『そっか』ページ17

『キヨくんと付き合うことになった…』
『おおおお！よかったやん』

俺はそんな思ってもないことを口にしてしまった。
そして聞きたくないのに、聞いてしまう。

『どっちから告白したん？』
『…私から』
『そっか…、おめでと』

この時俺はちゃんと笑えてただろうか。

それからキヨくんとAが一緒に話したり、登下校するところを何回も見かけるようになった。
Aはいつも笑顔だった。

Aへのイジメも収まったし、キヨくんも落ち着いた。
これでいいんだ。俺が我慢すれば…。

――でも違った。

『ねぇ栞太…。最近ものがよくなくなるんだよね…』
『え…。また…イジメ？』
『多分、違うと思う…。』

もしかしたら、そう思って俺はキヨくんに問いただした。

『そうだけど。いいじゃん別に』
『別に…って、キヨくん何言ってんの…？』
『もうAは俺のものだし、へこんでたら俺が慰めればいい話なんだよ』
『そういうことやないやろ…』
『あー、もうレトさん分けわかんないわ。俺達に口出さないで？部外者なんだから。』

そういわれた時何かが切れた。
俺はキヨくんとはあまり話さなくなった。

それから俺はAがキヨくんから何かされないか、いつも見るようになった。

そしてある日、
俺はキヨくんが放課後、Aの体操服をロッカーから盗んでいるところを写真にとった。
というか何でピッキングできるんだよ…。

『…A』
『どうしたの？』
『あまり言いたくないんやけど…』
『うん』
『これ見て』

――このときのAの悲しそうな顔は一生忘れられないだろう。

『あのね…、栞太』
『なに…？』
『もしかしたらキヨにストーカーされてるかもしれないの』

またあいつか…。
沸々と怒りがわいてくる。

俺はキヨくんと距離を置くように言い、ずっとAのことを見守った。

家へ帰るときも暗いので後ろから見守り、ちゃんと家についたか電気が消えるまで見守り
朝もちゃんと学校に行けるまで見守る。

――俺しかAを守れない。

『栞太、私キヨと別れたよ』

『そっか』

俺はひそかにほほ笑んでいた。

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