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「失っ....井......」
「私とこうなるのは嫌だったかね?」
眠っていたはずの栄児の大きな手が、香奈江の涙を拭っていた。
それは普段の彼と違って優しく、紳士的な振る舞いだった。
「嫌、じゃない.......嫌じゃないっ....けど......」
「けど......何かね?」
「あたいが軽い女だって思われたらっ......」
香奈江がぐずぐずと泣きながら答えると______応えると、相手からかえって来たのは、
子供をなだめるような微笑みだった。香奈江が泣くなんて珍しいことだから、困惑してもいいところだと思うのに、栄児からは困惑の色が全く見られないのがまた不思議なことだ。
「そのようなことで悩んでいたのだね.....私の気遣い不足かね。
たけどね、私とて、責任を取れないような女性と軽くこのような関係になったりしないよ」
ぎゅ、と抱き寄せられると、細身でも筋肉のつきがよいその体の抱かれ心地があまりによかったものだから、香奈江はしおらしい態度で......まるで少女のように、
「じゃ、それってあたいのこと本当に......恋人だって.....」
「......このようなことは不馴れでね、なんと答えればいいのか分からないのだがね...
......そうだ。君のことを私は...つまりだね...ふむ.....」
「あー、もういいっての!」
ぎゅうう、と抱き返す香奈江の表情には、先程のような曇りはなくなっていた。
「栄児、大好き、って言って......」
「大好き」
「......それだけかよ」
「....おいで」
ふたりの長い1日が、また始まるのだ______。
「にゃあっ♡」
「声が大きすぎやしないかね....」
〜END〜
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ぶるうべりぃ♪(プロフ) - もうとにかく丑寅が好きすぎです!寅ちゃんが乙女してるところが可愛すぎて辛いですよね! (2020年8月30日 18時) (レス) id: 69ebf7d565 (このIDを非表示/違反報告)
ファイアー@宝石の国沼(プロフ) - つゆもち。さん» 分かってもらえて嬉しいよつゆちゃん(( こっちにもコメントしてくれてありがとうね〜〜 (2019年5月18日 20時) (レス) id: 0900a9cb6c (このIDを非表示/違反報告)
つゆもち。(プロフ) - テンションがwwwwwでもめちゃくちゃ分かります...... (2019年5月18日 17時) (レス) id: 1767128fae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ファイアー@橙蛙不二周助の人 | 作成日時:2018年8月24日 13時