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「はじまり」 ページ1

◇ ◇ ◇

 ガタンと電車の揺れで目を覚ます。頭がグラリと揺れ、目の前の人に怪訝な目で見られてしまった。
 朝、通勤と通学ラッシュと被る時間。
 ××線はいつもの如く混みあっていた。
 隣には知らないおじさん。スマホとイヤホンで自分の世界に引きこもっている。
 スマホに少しだけ憧れを抱きながら、私はポケットから白いガラケーを取り出した。


「(通知、来てるかな)」


 手慣れた操作でネットを開き、とあるサイトに飛ぶ。そこは私の楽園、私のオアシス。自分だけのブログが作れるサイトだ。

 誰かが私のブログにポイントを送ってくれた通知が一件。誰かが私のブログにコメントしてくれた通知が一件。
 それをみて電車だと言えど、ニヤニヤと口角が上がってしまうのがわかった。

 私の趣味で描いている小説と絵を載せているブログは、ポツポツと閲覧者が増えてきている。日に日に増える閲覧者の数字に、少しだけ優越感を感じていた。


「――次は、〇〇、〇〇。
お出口は右側です」


 聞き慣れたアナウンスを合図に、ガラケーを閉じる。ブログの記事の作成途中だったけど、仕方がない。
 〇〇駅に着いたのを見、私は荷物を持って立ち上がった。

 扉から足を踏み出し、ホームへと降り立つ。今日は風が強いようで、自慢のボブカットの髪が揺れる。髪が乱れる日は好きじゃない。


「あ、久しぶり!
覚えてる?美琴だよー」
「あー……うん、久しぶり」


 嫌な人にあったなあ、と内心思いつつ、話しかけて元クラスメイトの美琴に応答。この子はたしか小学校の頃のマドンナ、みたいな子だ。
 今じゃあその欠片もないメイク顔。私的にはメイクをしない方がいいと思う、だなんて言えるはずないけれど。

 パチパチと瞬きするたびに風でも吹きそうなくらいに濃い睫毛。その下に潜む目が、私をとらえる。


「私さあ、最近大変だったの」
「え……なんで?」
「あのねー」


 私はその美琴が発する言葉を聞き、思考を停止させた。私がそうなった事なんか露知らず、美琴はぺちゃくちゃと話し続ける。
 必死になって思考を復活させ、冷静になり、美琴の言葉を思い出す。
 ――私、ゾンビになっちゃってさ。という言葉を。
 ゾンビというのは物理的に腐った人間、で合っているだろう。それに美琴がなった?何故、そもそもこの現代にそんな非科学的なものが存在するのか?
 頭を必死に動かし、美琴の言葉の意味を考える。まさか、それが真実とは言わないだろう。

◇ ◇ ◇

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- 読み手に少し恐怖感を煽ってくる文面。とても考えられていてお話に引き込まれます! (2019年3月26日 12時) (レス) id: 98c7ca9aca (このIDを非表示/違反報告)
仮面ネコ - とっても面白いです! (2018年7月31日 12時) (レス) id: 4ad8182519 (このIDを非表示/違反報告)
仮面ネコ - とっても面白いです! (2018年7月31日 12時) (レス) id: 4ad8182519 (このIDを非表示/違反報告)
バナナフロート - 縦書き…!!編集初心者の私には憧れです!続きが気になる作品ですね。本当にあったら怖い… (2018年6月10日 22時) (レス) id: 4fd0a6807d (このIDを非表示/違反報告)
椿姫(プロフ) - 彩夏さん» え〜…、入れない方がよくない?笑笑 (2018年6月10日 15時) (レス) id: e5c704bd79 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:むつ | 作成日時:2017年4月4日 23時

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