14話 ページ14
「先生さようならー!」
『さようなら』
放課後、Aは部活のない生徒達を帰して職員室で残った仕事を片付け始めた。そして少し経つと電話がかかってきた。名前を見ると左馬刻と書いてある。
スマホを手に持ち廊下に出た。
『どうした?』
左馬刻と話す時のAの声はいつもより優しく、廊下を歩く先生や生徒にびっくりされていた。
「いや、声聞きたくなったからよ。何時に帰ってくる?」
『このままいけばあと一、二時間くらいで帰れるな』
「じゃあ飯作って待ってるわ」
『嗚呼、ありがとう』
Aは小さな声で愛してるよ、と言った。
「お前なぁ…」
『はははっ、じゃあな』
「おう」
Aが電話を切り振り返ると、そこには担当しているクラスの女子生徒数名がいた。
「へ、あ、あのっ!」
女子生徒数名の中の一人が話しかけてきた。
『どうした?』
「えっと、こ、これ!受け取ってもらえませんか?」
そう言って差し出されたのは封筒だった。
『手紙かな?ありがとう』
「あの、返事はいつでもいいので、お願いします!」
『あ、嗚呼』
告白だ。Aはそう思った。こういうことはよくあるためAには分かるのだ。
「ち、ちなみに、さっきの電話の相手って…」
『妻だな』
「そう、ですよね…あ、えっと、さようなら」
『さようなら』
女子生徒は言っちゃった!など話ながら帰って行った。
『左馬刻に怒られてしまうな…』
一応封筒を開けて手紙を読む。
やはり告白の内容だった。
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作者名:草生える | 作成日時:2022年7月27日 12時