6 ページ6
「あとね、いずく。お母さんがいってたんだけど、にんげんのかのーせーに０％と１００％はそんざいしないんだって」
「？」
「それとね、おばあちゃんもいってたんだけど、いのちあるものは、ひびせーちょーしてるんだって。で、あるひにちゃんとしんかするんだって」
「しんか…」
「うん、パワーアップするの」
「…でも…ぼくは……「だからね、たぶんね」？」
−いずく、どんくさいから、こせいもどんくさいんじゃないかなぁ？もしかしたらおねぼうさんなだけかもしれないよ？−
−あと、ゆびだって、もしかしたらいずくだけとくべつで、いずくだけしんかして、まがったままこせいがあるのかもしれないよ？−
「それにさ、もしいずくがむこせいでヒーローになれたら、それってさ、セカイハツの『むこせいヒーロー』ってことでしょ？それってさ…」
−ちょうカッコイイよね−
みずきちゃんの言葉に、当時僕がなんて言ったかは覚えていない。
みずきちゃんの言葉を全て理解出来てはいなかったけれど、それでも、ただ嬉しかった。
可能性はあると、まだ諦めなくていいと言ってくれた気がして。
「……いずく。オール、マイトはどんなときでもえがおなんでしょ？
泣いちゃダメ。わらわなきゃ」
「…う”ん”…っ」
ポンポンと動く手に、涙を拭う。
「おとなりさんのオジサンがいってた。『男は気合いと根性と度胸だけ持って、グイっと前見て進んでたら良いんだ』って」
「よくわかんなかったんだけどさ。いずくもオトコだからオジサンがいったみたいにしてさ…それから……」
「？みずきちゃん？」
「……いずくは、ヒーローに…なれるかもしれないんだから諦めるなよ…。なってもイイんだから、諦めちゃ…ダメだよ」
当時の彼女のその声音は、今でも時折思い出す。
感情が読みにくい声音で話す彼女が、唯一表に出したソレは、酷く、悲しげなものだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 8人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ソーカ | 作成日時：2019年2月21日 18時
