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「だったら生きろよッ！！！」
胸倉を鷲掴んで引き寄せた彼女の目が僅かに見張る。
ボロボロと零れる涙をそのままに、感情のままに言葉を続けた。
「なんで『辛い』の一言も言わないんだよ！！君がそうやって強がって無理してッ！
心配するのは当然だろ？！君のお父さんだって！生きて欲しいって思うから頑張ってるんじゃないか！！それを蔑ろにして自分は『死んだ方が良い』だって？！
―――生きることから逃げる理由に僕達を使うなよ！！」
「っ！」
「少しでも申し訳ないって思うなら！生きて！！親孝行の一つでもすれば良いじゃないか！！」
「……」
「どうして君は…何も言ってくれないんだよ…！」
彼女はいつも、彼女自身の大切なことは言葉にしてくれない。
それどころか、表情にすら出してくれなかった。
いつも。
いつだって僕は、気づけないままだったのだ。
彼女が生まれつき身体が弱いことを、クラスメイト達が話しているのを聞いて初めて知った。
病気を患ったことだって、彼女の祖母から知らされた。
それがとてつもなく苦しいモノだということも。
進行すれば、近いうちに死んでしまうことも。
全部、全部…彼女自身から伝えてはくれなかったのだ。
「…――って…」
「！」
「だってッ…言ったら…言ったら絶対！君は泣くじゃないですか！私の傍にいようとするじゃないですか！」
胸倉を掴む僕の手を握った彼女が声を上げる。
キツく握られた冷たい手が、小さく震えていた。
「だって緑谷くんは優しいからッ！！バカみたいに優しくて！強くて！カッコイイからッ！！」
「！？」
唐突に胸倉を掴まれて、今度はコッチが引き寄せられる。
不意打ちの彼女の行動に倒れそうになった身体を、ベッドに手を着くことで咄嗟に支えた。
「君はッ…私のヒーローなんです…!」
「…え」
初めて見た、彼女の涙。
ボロボロと零れるソレに、言葉を失う。
「初めてなんです…友達ができたのも…あんなにも楽しい時間を送れたのも…全部、全部…緑谷くんがくれたんです」
「っ」
ポツポツと語られた、僕の知らない彼女の過去。
幼い頃から入院と自宅療養で、小学校はまともに通えなかった。
近所に子供も住んでおらず、ずっと一人で過ごしてきたのだと。
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絵音(プロフ) - すごい好きです。主人公と 出久くんの本音を言い合うところとかほんのに好きです。素敵な物語を読ませてくれてありがとうございます…ッ！！！ (2019年5月22日 23時) (
レス) id: 740c8210f3 (このIDを非表示/違反報告)
ノルン(プロフ) - 凄くあったかい良いお話でした！生きて欲しいと説得？してるところとかもう涙が止まらず泣きながら読みました！素敵なお話を有り難うございます！ (2019年2月19日 23時) (レス) id: 265a916812 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ソーカ | 作成日時：2019年2月14日 14時
