記録係5【アンナチュラル 】

取引成立 ページ40

※オリジナル

六「今、宍戸さんにも会ってきて
話をここに録音してあります。」

ポケットからボイスレコーダーを
取り出し、末次さんに見せる。
目がギラリと光る末次さんを見て
寒気がしたが、今怖いと感じては押し負ける。
だめだめ。取引中。逃げるな私。

末「で？俺に何をしろってんだ。」

六「被害者女性の方のスマホを探す。
それだけです。
宍戸さんは僕らにヒントをくれました。
「俺になんのメリットがある」と」

末「金だろ？」

『金ではないそうです。』

末「じゃあ、でかいネタだ。
世間に大騒ぎになるようなニュース。
…亡くなった女性から連絡が来る
そんなオカルトじみたニュースとともに
それを警察より早く解決すりゃ…最高だな」

…楽しんでるって事か。
ニヤリと笑う末次さんに呆れる。
記者の気持ちは分からん。

末「いいね。その取引。乗った。
何かありゃUDIに連絡するわ。」

六「UDIに？」

末「お前個人にかけりゃ、
また変な噂がたつだろうが。
真剣にUDIで働くんだろ？
また誤解されてもいいなら
俺はいつでも六郎ちゃんにかけるよー」

『六郎くんではなくUDIにお願いします。』

…末次さんはいい人なのか
悪い人なのか全く読めない。
…信用していいのだろうか。

_____

数日後、末次さんから連絡があった。
六郎くんとともにまた末次さんの所へ向かう。
応接室は使用中との事で
玄関のホールで待つことになった。
数分待った後、ニコニコ顔で私達の肩を叩く。

末「Aちゃん！久部！
これだろ？糀谷夕希子のスマホ」

『…そう。これ！
…え、でもなんで…！？』

まさか、末次さんが
記事のために盗んでた？？

末「あ、Aちゃん
今、俺が犯人だと思ったー？」

『うう…っ！すみません…』

六「Aちゃん顔に出すぎ。」

末「まあ、きちんと話はするよ。
…後ろにいる方にもきちんとね。」

六「『え？』」

後ろをむけば、柱の影にいたのは

『系さんっ！』

中「…なんだ、気づいてなかったのか」

ふらりと出てきた系さん。
いるのが当たり前かのように
ふらっと出てくる。

『あああ…もう！
喧嘩しないでよ…お願いだからっ！』

ぐいぐいと腕を引っ張って
末次さんから系さんを離す。

中「…取引中に、そんなことするか。」

六「それはそうですけど…なんで
嬉しそうなんですか。」

末「久々のスキンシップで嬉しいのかなー？
だめだめ。日々のスキンシップは大事だよー？」

…どういう事なのか、私にはさっぱり。

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