あなたにピントを合わせたい (ページ29)

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そこの施設の施設長と知り合いだった社長は

私の写真に将来性を感じてくれて

大学に行く資金も出してくれた

そのまま今日までずっとお世話になっている

対人恐怖症だったのに

社長にはなんの恐怖心も生まれなかった

私を娘のように可愛がってくれていて

同じように私もお父さんのように慕っている

対人恐怖症はだんだんマシになってきたけど

こんな傷があればすれ違う人からの視線をたくさん感じる

だから私はサングラスをかけてマスクをしている

全身黒の服なのはただ単に黒が好きだからで

帽子は万が一サングラスがずれてしまった時のため

いつ対人恐怖症がぶり返してしまうかと

ヒヤヒヤするのが嫌なのもあって

私は今まで人を撮ることが嫌いだった

でも、彼らは大丈夫どころか

たくさん元気や生きる希望をもらっている

社長もきっと彼らがそういう人たちだと知って

私のためにもこの仕事を与えてくれたんだと思う

色々思い出してしまってまた涙が溢れてきた

あと1回瞬きをすればポロっと流れてしまうくらいに

どうにかこらえようと上を向いたり下を向いたりしていたら

急に身体があたたかい優しさに包まれた

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