検索窓
今日:5 hit、昨日:18 hit、合計:29,664 hit

第123話 ページ21

「クロードとは、何を話したのか……と、思いましてね。いや、それほど大した事では無いのですが、少し気になって……お客人に迷惑をかけていないか、だけね」


先程の真剣な面持ちからは打って変わって、当主どのは和かに微笑む

だが、何処か捲し立てる様な話し方が気になる

こちらを脅そうとでも、いうのだろうか

それとも……




「クロードさんとは、ルイン様のお話を。ルイン様の事を、もっと知れたらと思いまして」


微笑みながら言うと、当主は安堵した様に、小さく息を吐いた


「そうでしたか。……なら、良かった」


何が良かったのか、それは敢えて聞くまいと口をつぐむ

居心地の悪い沈黙が流れる




「ルインとの縁談は、どうですか。受け入れては、いただけませんかな」


沈黙を破り、笑う当主の顔はどこかぎこちないが、私とルインどのとの縁談には、前向きの様だ


「ありがとう、ございます。……ですが、私でよろしいのですか?……私の身分では、メイザス家の役には、立てないのではないかと」

「そんな事はありませんよ。ルインがAどのに惚れ込んでいる様ですし、それに、結婚とは身分だけで決まる訳ではありません」


途端に饒舌になる当主は、次々と言葉を積み重ねていく


「Aどの、貴女も我がメイザス家に居れば、その身を危険に晒し、誰かを守らなくてもいいのです。それ程上流階級の家ではないが、貴女や、その周りの人を守るくらいの事は出来る」

「私はっ……!」


思わず、声を張り上げてしまった


「私は別に、ずっと護られていたい訳では……無いのです」


その言葉は、先程オビと部屋で交わした、背中を預け合うという約束からだった

一方的に、護られるだけの存在としては、在りたくなかった

だが、この言葉のおかげで、私は一人ではないのだと、オビがいるのだと改めて気づく

不思議と、勇気が湧いてきた

握りしめていた手の指先が、温もりを取り戻す

もう一度手を握り直して、私は前を見据えた


「そもそも、私自身が狙われる事なんて、あるでしょうか」

「は……?」


当主の間の抜けた声が響く


「王子の護衛任務の時には、確かに、狙われる事はあります。……でも、その階級を持たない私の事を、誰かが狙う理由がありませんから」


当主にとっては、このくらいの事は言葉の綾程度で、墓穴にはならないのかもしれない

それは分かっていた

でも、この人が私を狙っている

それだけは、確信に変わっていた

続く  (更新停止中) お気に入り登録で更新通知を受け取ろう

←第122話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (58 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
271人がお気に入り
設定タグ:赤髪の白雪姫 , オビ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ななき(プロフ) - 続きが気になり死にそうです!よろしくお願いします!まじで大好きです! (2022年7月8日 17時) (レス) @page21 id: ea7be47ac2 (このIDを非表示/違反報告)
ぺこぱ(プロフ) - じっくりと読ませていただきました。これからの展開がとても気になります!!お忙しいとは思いますが、更新お待ちしています!! (2020年9月16日 5時) (レス) id: 7095aaaef1 (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - あざかさん» ありがとうございます。長い間の更新停止、すみませんでした。続きも楽しんでいただけるよう、精一杯書かせていただきます! (2018年8月29日 22時) (レス) id: cda1da55b6 (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - ヒロネコさん» 更新が遅くなり、本当に申し訳ないです。今日からまた、ゆっくりと再会していきますので、お楽しみいただければ幸いです。 (2018年8月29日 22時) (レス) id: cda1da55b6 (このIDを非表示/違反報告)
あざか(プロフ) - すごく面白いです!!!続き、楽しみに待ってます!頑張ってください!! (2018年5月6日 3時) (レス) id: b72f39f2a6 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:くるみ | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年8月21日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。