単純な恋の気持ち ページ28
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夢主side
_____"『終点で待ってる』"
既読がついたことを確認し、画面を消す。
"幼なじみ"だから、お互いのことはなんでも知っていると思っていた。
莉犬も私もお互いの存在が不可欠で、なくてはならない存在だった。
そんな言葉で簡単にしばりつけて依存していった結果、たまに喧嘩をすることがある。
そのときは大抵ここの"終点"に来ていた。
今思えばこの"終点"は本当の意味での終点になったのかもしれない。
喧嘩に終点して、また仲直りをする。
そして今日、私は自分の初恋に終点する。
この桜の木に比べたらこの恋もきっと短い。そう考えればつらくない。
綺麗な終わり方なんて知らない。けれど、この桜の木の下で終止符を打てば何となく綺麗に終われる気がした。
_____「女子だったらお前しかいないわ」
その一言で恋へとおちたのかもしれない。
小学校4年生の頃、英語の授業で"クラスの人の好きな物を聞こう!"っていうのがあった。
当たり前かのように女子は女子に聞き、男子は男子に聞いていた。そろそろ男女の意識も湧いてくるころだろう。
それを見兼ねた先生が言った、
「一人一回は女の子は男の子に、男の子は女の子に聞いてくださいね」
その先生の一言でクラスがざわつき、ある子は気になっている異性に、またある子はそばにいた異性に。
私はと言うとどうしようかと思って、教室内をうろうろとしていた。
「あ!A〜!!」
『莉犬、』
「俺とこれやって〜、はい」
『うん!』
"「女子だったらお前しかいないわ」"
ボソッと呟いた彼の声を私は聞き逃さなかった。単純に嬉しかった。
周りにいるどの女の子たちよりも私が一番。そう言われている気がした。
今思えばその言葉はただ単に話しやすいからという意味かもしれないし、都合のいい女だったのかもしれない。
それでも嬉しかった。自分のことを一瞬でも特別に扱ってくれた彼の気持ちが。
その瞬間、曖昧だった私の想いが恋へと変わった。
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胡桃。(プロフ) - alice roseさん» コメントありがとうございます!文の書き方にはとてもこだわっているのでそう言っていただけると嬉しいです。これからもこの作品をよろしくお願いします! (2021年3月16日 17時) (レス) id: f67a1b0d95 (このIDを非表示/違反報告)
alice rose(プロフ) - 文の書き方がとても素敵で大好きですっ!無理せず更新頑張って下さい♪(●´ω`●) (2021年3月16日 8時) (レス) id: b029b97bf5 (このIDを非表示/違反報告)
胡桃。(プロフ) - 月風さん» コメントありがとうございます。儚く過ぎ去ってしまうような、花のよう。とても素敵な表現をしていただきありがとうございます!私の表現が月風様に伝わっていて良かったです。これからもこの作品をどうぞよろしくお願いいたします。 (2021年3月9日 23時) (レス) id: add3e6f906 (このIDを非表示/違反報告)
胡桃。(プロフ) - バナナくんが尊い!!さん» コメントありがとうございます。神作だなんてとんでもないです!甘酸っぱい青春、切なさなどを感じていただいてとても嬉しい限りです。これからもこの作品をどうぞよろしくお願いいたします。 (2021年3月9日 23時) (レス) id: add3e6f906 (このIDを非表示/違反報告)
月風 - すてきな作品ですね。儚く過ぎ去ってしまうような…花のようでとてもすてきですこれからも無理せず更新がんばってください! (2021年3月9日 22時) (レス) id: 7d237fbbac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:胡桃。 | 作成日時:2021年3月1日 0時