◆晴れ間を待つ 2 ページ6
途中から、二人は私そっちのけで軽い口喧嘩を始めてしまった。これぐらいの言い争いならば、この二人にとってはじゃれあいの範囲だ。
そんな二人に気づかれないように、私はそっと足元に転がっていたボールを手に取った。
二人がボール遊びをするときに使う、お気に入りのボールだ。
『パール! リッチー!』
パール「……!!」
リッチー「……!!」
二人がびくっとしたように身を起こした。
そして、次の瞬間には二人揃って身を翻してのダッシュ。
タッタッタッタッタッ!!
……さすがは犬。
もつれあうようにしながら、あっという間にボールが見えなくなってしまう。
パール「ボールはぼくが取るんだよ!」
リッチー「今日は負けないもん! リッチーの勝ちだもん!」
パール「やぁだ、放してよ! リッチー!!」
リッチー「やあだーー!!」
パール「もう、ぼく怒るよー!!」
リッチー「パール怒っても怖くないもん!」
遠くのほうから、二人がきゃいきゃいと騒ぐ声が聞こえてくる。
『ふふっ。』
そんな微笑ましい光景に、つい口元が緩んだ。
パールとリッチーは、私の話し相手としてガーランド家に引き取られた犬種の兄弟だ。
お兄ちゃんのパールと、弟のリッチー。二人がまだほんの小さな子供の頃に、両親は病気で亡くなってしまったらしい。
私の家、ガーランド家に引き取られて以来、二人は私にとてもよく懐いてくれる。
あれ? いつの間にか二人ともいない。ふふっ、ボールを取ったのはどっちかしら……。
パール? それともリッチー?
果たしてボールを手にしたのは誰なのだろうと足音の主へと視線を向けると……。
『……げ。』
思わずそんな声が出てしまった。
そして、私のそんな淑女らしからぬ声に、ますます背後に立つ人物の眉間の皺が深くなる。
?「……(人1)お嬢様。伯爵令嬢ともあろうお方が、そんな声を出さないで下さい。せめて「あら」と言ってくださいね。」
『その言葉遣い、嫌なんだもん。おばさんくさいし……。』
?「はあ……。……というか、僕を見てその反応ってどういうことなんですか。僕の事がお嫌いですか?」
『えっと……嫌いではない、と思うわ。多分。』
たまに口うるさい時があるけど……。
心の中でボソッと呟く。
?「ふー……。」
『……あは。』
ため息をつく彼に私は笑って誤魔化す。
?「まったく。」
……よかった。ザラのお説教は長いから。
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フフカ - はい!まってます今日もご苦労様でした。(^∀^#← (2016年4月13日 5時) (レス) id: eace5f3fac (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - ありがとうございます! そうです、前とは少し内容を変えて書いてみました!! よくわかりましたね(^○^) これからも頑張りますので楽しみにしていてください!!! (2016年4月12日 22時) (レス) id: 23fff2c30d (このIDを非表示/違反報告)
フフカ - こんなに遅くからご苦労様です なんとなく今日も来ちゃいました!似ている小説だけど前とは違うので読んでます前より詳しく書いてあるのでとても分かりやすいです(#°∀°♭ 明日もまってまーす(笑) (2016年4月11日 22時) (レス) id: eace5f3fac (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - ありがとうございます! 頑張ります(^○^) (2016年4月10日 20時) (レス) id: 23fff2c30d (このIDを非表示/違反報告)
フフカ - 分かりましたありがとうございます誰オチにするか決まったら教えてください これからも毎日応援してます!!ガンバデス (2016年4月10日 19時) (レス) id: eace5f3fac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヒメア | 作成日時:2016年3月9日 20時