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◆目的 ページ42

?「……行くぞ。」



『……え?』



考え込んでいるところで、声をかけられて間の抜けた声が出た。



行くって……、私が?



『私も……、一緒に行くの? どうして? あなた一人のほうが……。』



?「いいから。行くぞ。」



『……っ!』



強く腕を引かれる。その強さに、彼の本気を見た。彼は、本当に私を連れて行くつもりだ。



やっぱり……、私はただの人質じゃないの?



庭で、追いかけてくるネッソたちから逃げながらも感じたことだ。彼は、一人のほうが身軽に逃げられるという状況でも、決して私を離そうとはしなかった。まるで、最初から目的が私であるとでも言うように。



それなら……、何のために?



身代金狙い、だろうか。
確かにガーランド家は、身分につりあっただけの財産を所持している。身代金目的の誘拐を企む対象としては申し分がないだろう。



だが、その誘拐の対象になりうる存在には問題点が多すぎる。ガーランド家長男であるネッソはウェブリン一とまで言われる筆頭騎士だし、一人娘の私はといえば、塔の中に隔離されており、限られた人間しか塔には入ることすら出来ないという状況だ。
誘拐の対象に選ぶには、難易度が高すぎる。



それなのに……、どうして?



どうして、ガーランド家に狙いを定めたのだろう。どうして、私を攫ったのだろう。



『…………。』



?「……なんだ? さすがに怖くなったか?」



『……え?』



?「…………。」



彼に、訝しげな目で見られてしまった。



怖い……?



彼に言われるまで、怖いという感情のことをすっかり忘れてしまっていた。怖いというよりも、知りたいという気持ちのほうが強い。
何が起こっているのか。どうして、こんなことになってしまったのか。



それに……。



ちらりと視線を、私の手を引いて歩く彼へと流す。ウェブリンにおいては、狩りの対象にされる狼種の青年。凶悪で、凶暴だと聞いていたが、そんな風には見えない。私に対して、何か直接害を与えようという風にも、見えない。



そうなると……、やっぱりどうして、と思ってしまうのよね。



彼のことを、もっと知りたいと思ってしまう。
いったい何が、彼と私を結びつけたのだろう。

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フフカ - はい!まってます今日もご苦労様でした。(^∀^#← (2016年4月13日 5時) (レス) id: eace5f3fac (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - ありがとうございます! そうです、前とは少し内容を変えて書いてみました!! よくわかりましたね(^○^) これからも頑張りますので楽しみにしていてください!!! (2016年4月12日 22時) (レス) id: 23fff2c30d (このIDを非表示/違反報告)
フフカ - こんなに遅くからご苦労様です なんとなく今日も来ちゃいました!似ている小説だけど前とは違うので読んでます前より詳しく書いてあるのでとても分かりやすいです(#°∀°♭ 明日もまってまーす(笑) (2016年4月11日 22時) (レス) id: eace5f3fac (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - ありがとうございます! 頑張ります(^○^) (2016年4月10日 20時) (レス) id: 23fff2c30d (このIDを非表示/違反報告)
フフカ - 分かりましたありがとうございます誰オチにするか決まったら教えてください これからも毎日応援してます!!ガンバデス (2016年4月10日 19時) (レス) id: eace5f3fac (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ヒメア | 作成日時:2016年3月9日 20時

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