【BLACK WOLVES SAGA】〜Last Hope〜

◆初めての外出 ３ ページ15

二人がそれぞれ私の手を取って、軽く引く。普通の人にとっては、普通の事だろう。だけど、私にとっては初めての事で。今まで見ているだけで直接関わることが出来なかった光景が目の前に繰り広げられ、嬉しくなった。



*****



ﾊﾟｰﾙ「ザラ、まだー？ ぼくもう散歩の準備はばっちりだよー。」



ﾘｯﾁｰ「リッチーもお散歩の準備はばっちりだよ！ ザラってばこういうときのんびりやさんだよね！」



ｻﾞﾗ「はいはい、わかってますからもう少し待っていてください。こっちの仕事が終わったら、散歩につれていってあげますから。」



…………。



ﾊﾟｰﾙ「ねー、ザラー、まだー？」



ﾘｯﾁｰ「リッチー、待ちくたびれちゃったよ。」



ｻﾞﾗ「もう少しです！」



ﾊﾟｰﾙ「わーい！」



ﾘｯﾁｰ「わーい！」



*****



……さすが犬種。パールとリッチーも、お散歩にかける情熱はなかなかのものなのよね。



いつも、早く散歩に行きたい二人と、なかなか仕事が片付かないザラとの間でこんな攻防が繰り広げられていた。今まで、外に出ることが出来ない私にはただ見ていることしか出来ないことだった。



ﾘｯﾁｰ「(人1)ちゃん、どうかした？」



『ううん、なんでもないわ。行きましょう。』



ﾊﾟｰﾙ「うん、早く早く！」



ｻﾞﾗ「くれぐれも庭ではしゃぎすぎて、転ぶようなことがないように気をつけてくださいね！」



ﾊﾟｰﾙ「はーい！」



ﾘｯﾁｰ「はーい！」



ｻﾞﾗ「三人とも、来賓のお客様が到着する前には着替えなどの準備もありますからね。それを考えて行動してくださいよ？」



『はーい！』



ザラの言いつけに、元気よく返事を返す。と、そこでふと来賓と聞いて思い出したことがあった。

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