◆初めての外出 1 ページ13
ふと視線を窓の外へとやる。
『……あ。』
ザラ「どうしました?」
『よかったわ! 雨が止んでくれたみたい。そんなに酷くは降っていなかったから、きっとすぐに止んでくれるとは思ってたんだけど……。万が一酷くなって、今日のパーティーを中止にされてしまったらどうしようかと思っていたの。』
ザラ「ああ、本当ですね。」
私の声につられたように、ザラも視線を窓の外へとやる。先ほどまでは霧のように細かい雨を降らせていた雨雲だが、今はもうすっかり雨はあがっているようだ。
『…………。ねえ、ザラ。ちょっと庭に出たらいけない?』
ザラ「……今からですか?」
『うん。さっき、リッチーが雨上がりの庭がとても綺麗だって言ってたから。』
ザラ「…………。」
『ねえ、お願い! パーティーの始まる前に、ちょっとだけ散歩をしておきたいの。庭に出る許可ならお父様からだってちゃんとおりているんだし、いいでしょ?』
ここぞとばかりに、頼み込む。この機会を逃せば、雨上がりの散歩だなんてチャンスは二度と来ないかもしれない。
ザラ「…………。」
ザラは難しい顔で考え込んでいる。私を庭に出してしまうことで起こりうる様々な事態を予測しているのだろう。
『ねえ、ザラお願い! ……ダメ?』
ザラ「…………。……はあ。……わかりました。こちらの準備が整うまでの間だけですよ?」
『……!』
ザラ「お供にパールとリッチーを連れていってください。」
『ありがとう、ザラ!』
思わずその場で小さく飛び跳ねてしまった。
自分からお願いしてみたとはいえ、まさか本当にお許しがもらえるとは思ってはいなかった。
外に、出られる……!
胸がドキドキと高鳴り始める。
ザラ「パール! リッチー! ちょっとこっちに来てください!」
ザラが手を鳴らして呼ぶと、すぐに二人がこちらにやってくる足音が聞こえた。
タッタッタッタッタッ!
パール「なになに? どうしたの? ぼくに用事?」
リッチー「なぁにー? リッチーに用事? 今リッチー、パールとボールの取り合いで忙しいんだけど……。何かお仕事なの?」
パール「お仕事なの?」
二人はボール遊びを中断されたことに少しばかり不満そうだ。それでも、ザラの呼び声を無視したりはしないあたり、日々のザラの躾はうまくいっているようだ。
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フフカ - はい!まってます今日もご苦労様でした。(^∀^#← (2016年4月13日 5時) (レス) id: eace5f3fac (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - ありがとうございます! そうです、前とは少し内容を変えて書いてみました!! よくわかりましたね(^○^) これからも頑張りますので楽しみにしていてください!!! (2016年4月12日 22時) (レス) id: 23fff2c30d (このIDを非表示/違反報告)
フフカ - こんなに遅くからご苦労様です なんとなく今日も来ちゃいました!似ている小説だけど前とは違うので読んでます前より詳しく書いてあるのでとても分かりやすいです(#°∀°♭ 明日もまってまーす(笑) (2016年4月11日 22時) (レス) id: eace5f3fac (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - ありがとうございます! 頑張ります(^○^) (2016年4月10日 20時) (レス) id: 23fff2c30d (このIDを非表示/違反報告)
フフカ - 分かりましたありがとうございます誰オチにするか決まったら教えてください これからも毎日応援してます!!ガンバデス (2016年4月10日 19時) (レス) id: eace5f3fac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヒメア | 作成日時:2016年3月9日 20時