22** ページ22
「ち゛ふ゛ゆ゛ぅ〜〜ッッ！！」
「アンタ本当にめんどくさいな」
ズビズビと鼻水を啜りながら千冬に泣きつく。
それもそのはず、場地くんと話さなくなってから1ヶ月が過ぎた。
流石の私でもかなり堪えた。
1ヶ月だ。1ヶ月。
話さない間に衣替えの時期に突入し、辺りは全員半袖。
当然彼も例外ではない。
席替えを行っても何故か私と場地くんだけは位置が変わらず4月のまま。
つまりは斜め前を向けば場地くんが見える。
「もう限界だよどうしよう千冬……」
「最近身の回りで何かあったか？」
「場地くんと話せなくなった」
「何もねぇか。ふぅん……」
「話聞いてんの？」
顎に手を当て足を組み、ホームズさながらに何かを考える千冬。
格好付けるなと軽く脚を蹴る。
場所が悪かったのか、無言で脛を摩っていた。怒らないでほしい。
「まァ場地さんのことだからAの為にした結果がこれなんだろ。だからンな気ィ落と」
「あー辞典ずっとパラパラ捲ってるけど漢字見つからなくてアワアワしてる場地くん可愛い」
「場地さんオマエのこと嫌いだってさ」
「は！？そんなタチ悪い嘘つくなよ！」
「なんかムカついた」
見世物を見るかのように人が私たちに視線を送る。
それを気にもせずいつも通りの言い合いを行う私たち。
でも、いつもなら。
＿＿＿オマエら本当に仲良いよな
満たされないな、なんて少し悲しくなってしまった。
そんな様子を見た千冬がため息をつく。
一応失恋の傷心中なんだから優しくして欲しいものだ。
口を尖らせながら窓を見る。
雨が煩く降り注ぎ、気味悪いほど空が暗かった。
そんなことより千冬。横で退いて欲しいって言えずに困ってる席の主居るから退いてあげよう。
「最近Aも場地さんも上の空の時あっから転ばねえように気をつけろよ」
「何その注意………」
「場地さんはこの前電信柱にぶつかってたからな」
「ねえ可愛い見たかった私も一緒に帰りたい千冬代わって」
「マジで代わってやろーか？」
「ごめんなさい」
彼は立ち上がり、勝ち誇った顔で私を見下ろした。
ここまで腹立たしいと思ったことはあるだろうか？いやないな。
でもなんだかんだで彼には感謝してる。
定期的に場地くんの話(自慢のつもりだが)をしてくれるから。
「そろそろ仲直りしろよ」
「したくても出来ない」
「そうだ、今日の放課後センコーに雑用頼まれそうだったから『3組のAがそういうの好き』って言っといたワ。ガンバ」
「最低すぎん？」
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作者名：＿＿＿ | 作成日時：2021年10月29日 18時
