十五日目 ページ7
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『____ハァッ...ゲホッ』
止まっては駄目。
走って。
走って。
走り続けて。
この感覚は昔にも経験した。
あれはそう...お父さんとお母さんの仲があまり良くなかった日。ねーさんがいつもより私に構ってきて、なんだか鬱陶しく感じた日の事だ。
家に帰ると、怒鳴り声が響いてきて...部屋に戻るとねーさんがいる。
その日はどちらにも会いたくなくて...公園で時間が過ぎるのを待っていた。
すると知らないおじさんがやってきて、私にお菓子を渡そうとして来たから...逃げた。走って走って、知らない道を抜けると壊れかけの家や車の音もしない道路にたどり着いた。
その時には変なおじさんも見えなくなっていて、ホッとして家に帰ろうと思ったんだけど...自分が何処から走ってきたのかわからなくなっていた。
怖くなって、唯一あかりの着いていたマンションに入った。
誰かいないの?
そう声をかけても誰も何も居なくて、余計に怖く感じた。
そしたら、あかりの着いていた部屋であろう一室に辿り着いて...そして...
グチャリ
『ヒッ』
持っていた買い物袋を落として、"何もいない"はずなのに袋が凹み、中の卵が潰れる音がした。
"何もいない"...でも..."何かいる"
見えはしないけど、さっきからずっと赤ちゃんの泣き声が聞こえてくる。
おぎゃぁ、おぎゃぁ。
『うるさいッ!!!黙ってよ!!!!姿を見せてよぉ!!!!』
駄目だ、痛い。お腹が痛いよ。
ねーさん、ねーさん、ねーさん!!!
『ねーさん!と、とーじ!!!助けてよ!!!!!』
おぎゃ.....
「____何してんだ、お前」
『え...とーじ?』
「伏黒甚爾だよ、どう見ても」
『とーじ...とーじ...ヒック...うぇ...えーん!!!』
「汚ぇ顔しやがって...さっさと帰んぞ」
『と"ー"じ"ぃ"...』
「おい、俺の服に鼻水つけんな...なんだ」
『ひっく...卵...割れちゃった』グスン
「あー...1回家帰ってアイツに謝んぞ、んで今度は俺と買いに行くか」
『ケホッとーじ...いらないものも買うから、やだ』
「買わねーよ。たぶんな」
よかった、とーじが迎えに来てくれたら、もう何も聞こえないし何も感じない。良かった...本当に良かった。
『ん...』
「あ?」
『手、繋いで』
「.....仕方ねーな」
暖かい、そして硬い。
ねーさんの方が暖かいし柔らかい手だけど...
これも...悪くない。
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アカツキ(猫)(プロフ) - つばめさん» ありがとうございます!本作品は既に50話達成しちゃったので次書く時は番外編ですかね?(続編は予定にないです!)気が向いたら書きましょう...たぶん() (2021年6月29日 10時) (レス) id: 378303e13b (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(猫)(プロフ) - mimiさん» 読んでいただきありがとうございます!七海の恋は読者の心の中に結末が描かれている事でしょう...(つまりご想像におまかせします) (2021年6月29日 10時) (レス) id: 378303e13b (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(猫)(プロフ) - つばめさん» 京都校wそういえば出してませんでしたね!たぶん悪ふざけて最強コンビも術式使って追いかけてますね、これはw返信遅れてすみません! (2021年6月29日 10時) (レス) id: 378303e13b (このIDを非表示/違反報告)
つばめ - 読んでてやっぱり面白いです 高専編で甚爾の高専講師として恵達1年ズの絡み+親子のはちゃめちゃな絡み読んで見たいです (2021年6月28日 23時) (レス) id: e61b67cd9c (このIDを非表示/違反報告)
mimi(プロフ) - こんにちは!いつも楽しく読ませて頂いてます、七海の恋の行方が気になります^ ^更新楽しみにしています! (2021年5月24日 4時) (レス) id: 37e8de3853 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アカツキ(猫) | 作成日時:2021年3月17日 12時