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「あ・・いや、
不思議だなって思って・・・」


「不思議?」


「あぁ、下からお湯が上がって行って、
そして、まだ冷めたら下がる」

「あぁ、うん、それが?」

「この抽出方法を発見した人がすごいなぁって」


「サイフォンコーヒーはドリップよりも味が濃く抽出されやすいからね」


手を止め
そして、横からロートを眺める

「ここで決まるんだ」


「え?」

「最適な温度、最適な濃度、最適な味
ほら見てて
今、混ぜ合わせてたのが、
こうやって、上から泡、コーヒーの粉、液体の3層になっていくだろ?
これがうまくできなかったら美味しいコーヒーとは言えない」

・・・
ジッと見ていると
ゆっくりとロートの中で三層に分かれていく



すると、今度はフラスコが冷めたのか、
一気に下のフラスコへと
コーヒーとなった液体のみがゆっくりと降りていく


全て下り切ったあと、
フラスコ内にたまったコーヒーを見て

台から外し

見慣れたペーパーカップに
それを注ぐ



丁寧に、蓋を閉め

「どうぞ」


と言ってカウンターの私に渡す


私がキョトンとして彼を見ると


「何?」

「あ、いや、今日はうんちくないのかなって」


「うんちくって・・・
言って理解できるのかよ」

「は?失礼な」


そう言うと
くくくと静かに笑う

なんだ・・・
笑うんじゃん


「今日のは、マタリ トラディショナルという豆。
優しくて、ふくよかな味わい
まぁ、女性には結構人気が高い豆だよ
落ち着くだろ?」


私は、カップに口をつけると
確かにその味はこの間のような目の覚める
苦み酸味は少なく

そして、ホッとさせた


「というか、テイクアウトじゃなかったのかよ」


「あ・・・」


「テイクアウトじゃなかったら、消費税10パーセントだからね」

「え・・・」


「嘘だよ、冗談
ったく、仕事中だろ?いいのかよ
こんな時間に出てきて」


「あ・・・」


すっかりこのコーヒーの香りに酔いしれて忘れていた


「忘れんなよ・・・
仕事大好き人間だろ?」

「・・・」

「何?」



「ちょっと気分転換したかっただけだから」


・・・・

私はコーヒーを見て気づく


「あ・・・だから、この豆?」


「とりあえず、戻りな?
サボってるのバレたらあとが大変だろ?」


「はい・・」


私は、お金払い立ち上がった

そして、店を出る間際

「ありがとうございました」


と頭を下げた


この頃には、
すっかり、ここに来た理由を忘れてしまっていた

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作品ジャンル:恋愛
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紫姫(プロフ) - ミーさん» ミーさんすいません、しばらくこちらに来てない間に、どなたかによって使用不可になってしまっていました。現在、本部に相談してますので、しばらくお待ちいただけたらと思います。 (2020年11月9日 22時) (レス) id: 126fa04e95 (このIDを非表示/違反報告)
ミー - 続きが読めません…。 (2020年9月30日 0時) (レス) id: e62317eefb (このIDを非表示/違反報告)
yashuchar1031(プロフ) - だって、紫姫サンは褒めるところしか見つからないですもん(o´罒`o) (2020年8月25日 13時) (レス) id: 4cc73d8fe3 (このIDを非表示/違反報告)
紫姫(プロフ) - すりおろし梨。さん» はい・・・今回はマウント取りましたw真面目に書いてたら、星伸びないし、「つまんない」って言われたので、だったらここに合う作品を書いてみましょってなわけで書き始めたのですが、結局2章では私の癖がさく裂してますw無理ですねw (2020年8月22日 18時) (レス) id: 126fa04e95 (このIDを非表示/違反報告)
紫姫(プロフ) - yashuchar1031さん» やった♪褒められた〜、私、やればできる子なの〜ってwwwいつもありがとう (2020年8月22日 18時) (レス) id: 126fa04e95 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紫姫 | 作成日時:2020年7月3日 0時

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