コーヒー時々オムライス

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その声に反応し
今まで普段と変わらない
会話をしていたはずなのに


今朝までの部長と過ごしていたことが急に蘇ってしまう

そして、汗がまるでスプリンクラーかのように
一気に噴き出る

目を合わせられないままでいたけれど
ここは普段と同じようにしなきゃと
思い



「お・・・おはようございます」

と挨拶するも
出てきた声が裏返ってしまい

部長は一瞬立ち止まって私を見て


「なんだその声？」


と肩を揺らしながら自分のデスクに向かった



目の前の雅紀は爆笑し

「A、飲みすぎちゃったんじゃないの？」

と大笑いされる始末


「違うって・・・
嫌、違わないか・・・そうだ
うん、昨日は飲み過ぎた」


「あぁ、たぶん
Aがモテない理由はそれだな」


「うるさいな」


すると
少し離れたデスクで


「にっが」

と
部長の驚いた声がしたので
私と雅紀は思わず、そっちを向く



「どうしました？部長？」


そう言った雅紀に

「あ・・いや
なんでもない
つぅか、今日のコーヒー苦くね？」

とカップを怪訝そうに見る部長


「あぁ、部長も・・・
あれ？なんだっけ？A？」


「え？
へ？
あぁ・・・「NYkid」ね」


「そうそう、ネイキッド
部長も寄ってきたんですか？」


「あぁ・・・まぁ、常連だから
でもなんだこれ・・今日のはヤケに苦過ぎるだろ」


・・・
・・・


すると雅紀が

「えぇ？おかしいな、俺、そんなに苦く感じなかったけど
むしろ、今日のは、いつもよりまろやかっていうか・・・
なんだっけ・・・ちょっと待ってください
えっと。そうそう」


そう言ってジャケットの中から小さなメモを取り出して

「スマトラマンデリン」

と読み上げた雅紀


「何？雅紀、メモ取ってるの？」

そう言った部長に


「だって部長言ってたじゃないですか？
気になるものはとりあえず、メモしとけって
それが何かの糸口になるかもしれないって」



「あはは、言った言った・・・
でも・・・俺が今日ブレンドしてくれた豆は
スマトラなんとかでは無かったな」


「待ってください」

そう言って手を上げてもう一度メモを見て


「スマトラマンデリンです、部長
よし言えた」


「あははは
てか覚えろよ、２回も読んでるだったら」


まさかね・・・



「俺のは確か
ベトナムなんちゃらとキリマンジャロじゃやなかったっけかな
これは目が覚めるわ」

部長の言葉に
さーっと一気に血の気が引き


そしてニヤリと笑う
あのギャルソンの顔が思い浮かんだ

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