コーヒー時々オムライス

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「まさか、そんなはずはありません」

そう言いながら、
なぜ、バレたのだろうと
ドキドキする

「誰が見てもそう思うだろ」

「嘘」

そう言って彼を見る


にっこり作り笑顔を私に向け

「今日はいいお天気ですしね
ご注文のクロックムッシュです」


いいお天気ですね？
その言葉に少しひっかかりながらも

私の目の前にプレートと、コーヒーを置いた

「そして、今日のブレンドは
その浮かれポンチな脳みそを
目覚めさせる、
酸味と苦みを最大限に引き出した
『ベトナムロブ』と『キリマンジャロ』をブレンドいたしました
すっきりした目覚めでお仕事には支障がないかと思いまして」


「ちょ・・・ちょっと待ってください？
さっきから誤解されてるように思うんだけど
私がいつ、朝帰りしたと
あなたにお伝えしましたっけ？」


すると、首を少し傾け


「十分、伝わってると思うけどね」


「どこが？」


「言っていいなら、言うけど？」


「言って
逆に気になる」




「服だよ、服
昨日と同じでしょ、それ
あと、化粧。いつもと違う
てか足りない。
いかにも
カバンの中にあるありあわせの化粧道具で
間に合わせました感がひどい
あと・・・
髪？
雨の時しか束ねないのに今日は束ねてる
持ち合わせの道具が無かったってとこかな」


私は思わず
髪を触ってしまう

だから、さっき

「いいお天気ですしね」

と、言ったんだ


「あのっ」


そう言おうとしたとき


目の前に置かれた
香ばしいトーストと解けたチーズの香りに反応して、
昨晩、おつまみ程度しか口にしていない
私のお腹は、この状況化で

グルルルルと反応した


・・・

・・・


すると、彼は
クスっと笑い


「ごゆっくりどうぞ」

と言って立ち去ろうとする

「ちょっとっ」


声をかけようとすると

「まぁ・・・
俺が気づくくらいだから？
会社行く前に、言い訳考えた方がいいんじゃない？
今井Aさん？」


「ちょっと、フルネームで呼ばないでよ」


「あ、今日のコーヒーはお熱いうちに」

そう言ってニヤリと笑い

カウンターに戻って行った


私は
何も言えないまま

せっかく今日の自分のコンディションは最高だと思っていたのに

ここに来たことを後悔した


このまま、帰ってやろうかと思ったけれど

私のお腹は
正直すぎて、さっきからグルグルと反応する

私は悔しかったけれど


「いただきます」

と小声で手を合わせ
ナイフを手に取った

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