追想-TUISOU-１０ Secretな彼女番外編 (ページ5)

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とりあえず、俺は、

税関を通過する前に、
あやしまれても困るので、
友達と、会う約束をしているとだけ伝え
空港関係者に話をしてみる

聞くと

リンの関空からの便が、到着するのは俺の2時間後

でも、ターミナルを超えてしまうと、
わからなくなるので、乗り継ぎ口で、

どうにかピックアップしなければ、ならないという話だ
俺は、悩んだ結果、そこまでの事情を話し、
どうにかそこで待たせてもらうことができた

次第に、天井まである大きなガラスに、
雨が激しく打ち付ける
リンと会う前に、
無事に飛行機が到着するのか不安になった

俺がパリ上空にいるときでさえ、
あんなに揺れたんだ

さっきよりもさらに悪化しているから
きっと不安な思いもしているかもしれない

どれだけの時間、
ここでその風景を見ただろう

とっくに、到着するはずの
リンがのっているであろう飛行機は、まだ、パリ上空で、
旋回しているようだった

ゲートで待っていると
この嵐で遅れている便が次々とタイミングを見計らって
到着し、たくさんの人が行きかう

この世界にはたくさんの人種がいるもんだなと
改めて実感する
そして、個々それぞれ自分の国あって、
個々それぞれ育った国があって、そこに個々それぞれの人生がある
俺はたまたま、日本に生まれ、日本で育ち
学び、今の仕事についた
そんな中で、友達と会い、そして・・

「リンっ」

俺はゲートから出てきたたくさんの人の中から
見慣れた姿の女性を見つけ
大声で呼んだ

リンは、おそらく
まさか、ここフランスで、俺に会うとは思わなかったのだろう

出会った頃から変わらない
大きな黒い瞳をさらに大きくさせた

そして、その場で足を止め立ち尽くした

俺は、駆け足でリンの傍に行き、
無言でそのまま
リンを抱きしめた

「良かった・・・会えて」

俺はさらに強く抱きしめた

「翔・・・どうして？」

「リスボンに入るには、あの時間からだと
このシャルルドゴールを経由しないと入れない
そして、運がいいことに、
関空からの便より、成田からの便が先に到着するってわかったから
リンに会うには、これを逃すわけにはいかないと思って・・・」