追想-TUISOU-１０ Secretな彼女番外編 (ページ31)

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「ふはっ
理由ありきかよ・・・
なんだよ理由って」

すると、口をもごもごさせていた
リンが一瞬止まる

「え？ほら、イロイロあったじゃん、私」

「・・・」

俺は、そのリンの口にしたイロイロという言葉に、
キュっと一瞬締め付けられる

「あー。ごめん翔。
もう昔の話だから、気にしないで
って言っても、
私が間違ったことをしてしまったから、
翔を傷つけたし嫌な思いをさせたし」

「別に嫌だとは思ったことないよ」

「・・・でも、
当時はなかなか言えなかったんだけど
改めて
あの時、命を助けてくれてありがとう」

そう言って俺を見たリン

「いや、俺はただ必死だっただけだよ、
ただリンが・・・違うな
俺がリンを失うことが怖かったんだ
だから、咄嗟にした行動だよ
まぁ。俺っていうより、さとみがだけどな」

そう言うと
小さく笑った

「でね、小さい時からの夢は壊れてしまったけれど
翔が・・・実家まで来てくれたでしょ」

「あぁ、めちゃめちゃ暑かった日だわ」

「そう、あの日はすごく暑かった・・・
それで、翔とあの日いろいろ話して
翔やさとみに助けてもらった命には
意味があるって、
ようやく思えるようになったんだけど
そうなってくると、私は家を継がなきゃいけなくなるわけで
そこから、私の中でかなり藻掻いたんだ」

「そっか・・・
それで、家業の日本酒ではなく、
対抗したワインに目をつけたってことか」

「まぁ、当時は、それもあったんだけど、
今はちゃんと酒蔵も職人の手で
引き継がれて作り続けてるし、
逆に日本酒はこっちに日本から輸出してる
ワインも今では出荷できるぐらい生産されるようになったから
結果往来ってとこかな？」

「10年前、
すでにリンはこのワインのことを考えて
動き出してたんだな」

そう言ってまじまじとグラスを見る

「ん～、正確に言うと、大学4年の時かな」

「そっか」

「うん・・・」

そう言ってリンは、自分もワインを手にコクンと一口飲み
ため息をついた

きっと、俺もだけれど
リンもいろいろと思うことがあるのだろうと・・・

「なぁ、リン？せっかく10年ぶりにさ
こうやって、
まぁ、時間は限られているけれど再会できたし
ここで答え合わせ・・・しないか？」

「答え合わせ？」

「そう答え合わせ」

俺は、その強い思いこそ
年月とともに過ぎ去ってしまったけれど

いまだ微かに、納得ができてなかったんだ

俺の知らないところで、
リンは当時何を考えていたのかを