追想-TUISOU-１０ Secretな彼女番外編 (ページ2)

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「今どこにいる？」

「空港・・・」

「え？」

「私、会社辞めたの・・・」

「どういうこと？」

「ちゃんと、話そう？
今どこにいる？」

「私、しばらく日本から離れることにした・・」

「どういうこと？」

「いろいろ考えたくて」

「いろいろ考えるためにどこに行くんだよ？」

「ポルトガル・・」

「は？」

「昼前には出国する
前にも話たけれど
やらなきゃいけないことが私には、見つかったの
だから、もう
私、翔とは会わない・・・
ていうかごめん、会えない」

はっきりとそう言ったリン

「そう言う話は、電話でするものじゃねぇだろ」

俺は、壁にかかった時計を見る

「ていうか、そもそも、
私たちもう別に付き合ってるような
関係じゃないじゃん・・・」

「・・・」

「・・・」

何も言えなかった
俺は次に何て答えたらいいのか
正解を探していた

「ほら・・何も言えない
そう言う関係なのよ私たち」

「ちょっと待てって・・・俺は」

俺が話しかけた時
プツっと音が途切れ、
ツーツーツーと電子音が俺の耳に残った

出会って１０年
一方的に電話を切るなんてこと
リンはしたことが無かった

俺は怒りにも似たこの感情を俺は抑えきれず
持っていた携帯を壁に投げつけてしまう

「あぁぁ、もう」

俺は髪をかきむしり
足を踏み鳴らす

でも、壁の前に落ちた
携帯を見て

そもそも・・・
俺が悪かったんだ・・・
３年前、
俺が曖昧な関係にしてしまったから・・・

でも、だからと言って
この状態が納得ができるわけもなく

俺は、立ち上がり、

出しっぱなしになっているスーツケースに
適当にものを放り込み

そして、
棚にしまってあるパスポートを手に持ち、

追いかけるかのように
空港へと向かった

成田に着き
とりあえず、カウンターで調べてもらう

関空からポルトガルに入る便
俺自身も、よくよく考えてみたら、
追っかけたところで、
広いポルトガルの
どこを探せばいいのかわからなかった