口移し ページ8
俺の中のものが無くなり、口を離し
「誰がやんないって言ったよ」そう俺が言うと
ゴクんと小さくAの喉が鳴った
そして飲みきれなかったのか、口の端からしずくが少しだけ流れた。
「ちゃんと、受け止めなさいよ・・・ったく」
そう言って、親指でそのしずくの道筋をなぞってやるけれど
すでに、そのしずくはAの口から顎へ、そしてコートを脱いで、少しだけ露わになった
胸元へと落ちた
少しだけ・・・そう少しだけ俺の理性がジワリと熱を帯びた・・・
俺は少しだけ目を閉じ薄目でその胸元に落ちたしずくを
チュっと吸い上げた
んんっ・・・と
声をあげたAを俺が上目づかいに見上げると
俺の髪を両手ですくうように両手の指を絡めて
俺を見下ろし・・・
「なんか・・・」
「何？」
「ん・・・なんでもない」
「言えよ・・・そこまで言ったんだったらさ」
俺はそのままAを見上げる
「・・・犬みたい」
・・・
・・・
「はっ？？？？」
この状況で？
この今から甘い甘い
もうまさしく、このままゆっくり押し倒して・・・みたいなこの状況で
「犬って・・おまっ」
俺は思わず、横をむき、腕で口元を抑える
「だって・・・
くりくりの目で・・・舐めるんだもん・・・」
「はっ/////」
妙にハズかしくなる
「えぇぇぇ何？何？
照れてるの？？？和っ」
「うっさいよ。ったく、人が今からって時にさ、
どうしてこうムードを壊すかなぁ
あぁあ、もうやる気失せた
あぁぁ本当ヤダねぇヤダヤダ」
そういって身体を離すと
すぐさま
Aがキュッと俺の胸元のニットをつかんだ
「嘘・・・ごめん」
そう言って申し訳なさそうな顔をした。
その顔は、
本当に申し訳なさそうに思っているのか
俺を不安にさせてしまうくらい
神妙な面持ちだった
「だいじょうぶだって・・・冗談だよ」
そう言ったものの
なぜか俺の心の中はざわついていた
きっとさっきの今だから
Aもまだ落ち着かないのだろうと
そう考えるようにした
でも
どうやら、俺の方がずっと奥深いところに
その原因を作っていたんだ
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結愛(プロフ) - 和くんの立場を思うと、やるせないです。しょうくんに依存することでしか生きられない主人公に、少しだけ私と似た部分をかんじました。 (2020年3月3日 20時) (
レス) id: 790ab34727 (このIDを非表示/違反報告)
結愛(プロフ) - とても面白いお話でした。最後の3話から訳が分からなくなって、何度も読み返しました。和くんの中の主人公が好きという気持ち、しょうくんの部屋での出来事などは全部記憶からなくなってしまったということですよね。しょうくんと主人公の存在も和くんの中から消えた。 (2020年3月3日 20時) (レス) id: 790ab34727 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫姫
| 作成日時：2020年2月14日 21時
