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俺が顔を上げると
そこに
あの日、ベッドで眠っていたリンが立っていた
真夏だというのに、
長袖のカーディガンを羽織り、
そして、そんなに時間が経ってないというのに
随分と痩せてしまっていた
「リンっ」
俺は立ち上がり、
川を隔てて、リンを見る
「・・・」
「これは、ご神水
だから、全て浄化されるわ・・・」
「浄化？」
「そう、神様が、
身体についてしまった穢れを、この水が流してくれる」
そう言って、俺を見た
「リン・・」
リンは、
俺のメッセージの意図することが伝わったんだ
リンが附箋を張っていたそのページには
ひさかたの、天(あま)つしるしと、水無(みな)し川、隔てて置きし、神代(かむよ)し恨(うら)めし.
と書いてあり、
その意味は
天の印(しるし)として、
水無(みな)し川を置いて隔てた
神代のことが恨めしい
つまり、天の川(水無川)を隔てても
貴方に会いたい
リンがそこに附箋を置いていたのかわからないけれど
これは、俺の今の気持ちそのままだった
「万葉集」
リンがそう呟いた
「あぁ、万葉集、リンが記をつけてた・・・」
「うん・・つけてた」
「気づいてくれるか不安だった・・・」
思わず、声が震えた
「翔がそれを呼んで、覚えているとは思わなかった・・・」
水無川をまたいで向き合うリンと俺
リンの後ろには、社があり
俺は、川の反対側・・・
それは、まるで、和歌そのままだった
「それ少し意味ありげな和歌だったから・・・
神様を恨めしいって思った意味が、その時はわからなかったけど・・・」
でも、なぜか、
その川を俺は、
今渡ってはいけない気がして
「リン？」
俺は、名前を呼んだ
「今は、その意味がわかる気がするんだ・・・」
リンは、黙って俺をジッと見ていた
「会いたかった・・・リン」
俺が
そう言うと
リンの目から、ボロボロと涙がこぼれた
俺は
すぐにでも、飛び越えて、抱きしめたかった
でも、
たった５０センチの水路が、
俺の心を躊躇させる
リンは、
明らかに俺を、怖がっていた
目が、
そう、あの黒目がちの目が、俺を見て怯えていたんだ
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せいこ(プロフ) - 紫姫さん、こんな時間に今晩わ。2人のその後も気になりますが、紫姫さんの状態も気になります。無理しないでって言っても、リハビリが1番大切ですよね。私よりも動いてるから驚きばかりです。翔くんのお話ゆっくりで良いので待ってますね。 (2019年11月17日 1時) (
レス) id: 40a9623dcc (このIDを非表示/違反報告)
たまりん(プロフ) - 紫姫さん、こんにちは。お疲れ様です。全く同感です。明日参戦なのですが、昨日のVSのおかげで浮上出来ました。なので明日は楽しんでこようと思います。5人が、翔さんが笑ってるとこが大好きだから。お話の感想じゃなくてごめんなさい (2019年11月15日 15時) (レス) id: 73cb3c7af7 (このIDを非表示/違反報告)
紫姫(プロフ) - ゆきえさん» ゆきえさん、あぁぁぁ告白してくれた方ですねｗその時はありがとうございます。「内容も文章も丁寧」・・・うれしいコメントありがとうございます。できるだけ、イメージを映画の映像を見ているかのように描ければと思ってます。生き方は欲張りな生き方をしていますｗ (2019年11月13日 23時) (レス) id: 126fa04e95 (このIDを非表示/違反報告)
紫姫(プロフ) - yuri125さん» 結構、私は、この2人の関係が好きで、いろいろ経験して少しずつ大人になりながら少しずつ関係性が変わっていく2人の成長が書いていて面白いです、久しぶりに１年生のころの二人を見てたら、初々しくてｗ (2019年11月13日 22時) (レス) id: 126fa04e95 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきえ(プロフ) - はじめましての私にまで、お返事ありがとうございます！お話の内容も文章も丁寧だなぁ、と思っていましたが、紫姫さんの生き方そのものが丁寧なのですね。見習わなければ！私は文章を書くのが苦手なので、あまりコメントできませんが、ずっとずっと応援しています。 (2019年11月12日 20時) (レス) id: 63a2f8fd43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫姫
| 作成日時：2019年10月10日 22時
