＊ ページ37
ね、知ってる？
天橋立ってさ、山の上からみたら、
天に橋がかかってるからそう言うんだろうけどさ、
こうやって歩いたら、海に囲まれたただの林だね
これってさ、見方によったらさ、同じ場所にいながら、
全く別のものに風景が変わってしまうってことでさ
Aだけだよ、
俺の事をさ、違う角度から見てくれた子・・・
だからかな
Aが苦しんでる時に、助けてやらなきゃって思ったんだ・・・
翔の言葉の一つ一つを、この時は胸の中に大事な箱にしまっておくみたいに、
覚えておこうと思った
でも、
まるでそれは手ですくった水のように、
間からすり抜けて行く
私たちは、海に浮かぶ林の中を、ゆっくりと歩いて行った
もちろん、まだ日が高い時間、
周りは、観光客も少しだけれどいて
周りを見ると
まだ、３月、針葉樹だけは緑を保っているけれど、
そのほかの木はまだ新芽を出そうとしているところだった。
潮の香りと針葉樹の独特なヤニの香り
歩けば歩くほど、
今、自分がどこを歩いているのかわからないくなるくらい
まるで、森の中に吸い込まれてしまいそうな、そんな風景だった
ある程度歩いたところで、翔が歩みを止めた
「海側歩こうか」
そう言って、私の手を引き、木をすり抜けていく
林を抜けると、
そこは、今まで見た日本海のごつごつした岩場ではなく、
その天橋立のその形のまま砂浜になっていた。
足を踏み入れると
靴の半分まで、体重で砂にうもれていく。
「よし、このあたり」
立ち止って、、ビニールの袋から、さっき頂いた花火を取りだした、翔
季節はずれな上に、
白日の花火
いろんなことが、
おかしすぎて、頭の中、うううん、違う
心の中が混乱する
「ねぇ、どうして？」
「ん？」
私は聞かずに入れなかった
「どうして、昼間にするの？」
聞くまでもなくわかってる
それは、夜まで待っていたら、東京には帰れなくなるからだ
でも、
そこまでして、
この３月に花火をしようとする翔の気持ちが全くわからなかった
「ほら、どれがいい？」
私の質問には答えずに笑顔で
花火の束を私にさし出す
そして
戸惑う私に
「あ、線香花火は、最後ね」
そう言った翔
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1829人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紫姫(プロフ) - Sara xxxさん» やったwへへっ。この過去ありきの10年後、しきちゃん頑張りますw (2018年7月29日 7時) (
レス) id: b7a52fdc9b (このIDを非表示/違反報告)
Sara xxx(プロフ) - 紫姫さん〜(T ^ T) もうだめ。泣く。何この胸が苦しくなる展開…。続きを読むべく行ってまいります！！ (2018年7月29日 0時) (レス) id: d71a440a0a (このIDを非表示/違反報告)
紫姫(プロフ) - ケイトさん» ありがとうございます。今回は久しぶりにオリジナルを書いてるので、楽しいです。オトナになった主人公ちゃんの、また違った悩みを描けていけたらと思います (2018年7月27日 7時) (レス) id: b7a52fdc9b (このIDを非表示/違反報告)
紫姫(プロフ) - すりおろし梨。さん» あはは、いつもありがとうございます。お宝回収、ぜひお願いいたします。中には今回はフェイクも入れてますw そう、なんと言ってもあの翔くん、何も無くして離れたりしませんw (2018年7月27日 7時) (レス) id: b7a52fdc9b (このIDを非表示/違反報告)
紫姫(プロフ) - せいこさん» 花火は昼間にするもんですwいつもありがとうございます。若さゆえにを表現したくて、かなり今回は大変でした、なんせ私には遠い昔(;゜∇゜)これから、オトナに気持ちをシフトチェンジしていくので、スタートもしかしたら、慣らすために過去を行ったり来たりするかもです (2018年7月27日 7時) (レス) id: b7a52fdc9b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紫姫
| 作成日時：2018年6月24日 19時
