帰ってきた ページ28
携帯が鳴っていた。 プライベート用も仕事用も。 見れば、憐君や可憐ちゃんから物凄い量の電子手紙が送られてきていた。
それらを見ずに全て削除して、連絡先も全て削除した。
そしてもう一つ。 仕事用の携帯からは、元部下の長谷さんからの電子手紙が送られてきていた。
【A様。 今まで大変多くのご迷惑をかけ、本当に済みませんでした。 貴女を傷つけてしまった以上、もうヨコハマにいることはできません。 申し訳ありませんでした、さようなら】
何、それ。 お店は？ あんなに頑張って開いたお店は？ もう他の土地で開くための資金なんて、彼には残っていないのに。
『っなんで、長谷さん。 私、もっと貴方の作ったケヱキ食べたかったのに』
「・・・長谷は処刑は免れた。 大人しく県外で過ごしていれば、二度と裏社会に関わることはない」
中也が酷く冷たい声で言った。 龍君も、無表情で真っ直ぐ前だけ見ている。
『長谷さんの家族は？』
「無事だ。 今回は首領がエリス嬢のお気に入りの洋菓子だったからと言う理由で、一家全員見逃した」
『・・・そう』
涙をゴシゴシと強く拭き、憐君に貰った髪飾りを粉々に割った。
「良かったのか？ そんなことして」
『良い。 きっと、こんなことしてたら何時までも覚悟が決まらないままだから』
そう言って、窓の外へばらまいた。
気付けば、拠点の前に到着していた。 見張りに挨拶され、首領執務室へ三人で昇降機を使い上っていった。 その間の会話は殆ど零だった。
執務室前の黒服に会釈され、手を挙げて応える。 扉を叩き、「入っても良いよ」との返事を聞いて執務室へ入った。
「やあ、お帰り」
『ただいま。 八重桜は壊滅、憐君とも縁を切った。 これで満足？』
そう言うと、リンタロウは満足そうな笑み浮かべ、頷いた。
「よくやってくれたね。 素晴らしいよ、皆。 赤城家や学校への根回しは全て私がやっておく。 後のことは気にせず、ゆっくり休み給え」
私の後ろに控えていた中也や龍君は跪いた。 その様子を見て、私の定位置であるリンタロウの後に立った。
「うん、矢張り君が側にいてくれるととても落ち着くよ」
『それはどうも。 中也、龍君、戻って良いよ』
そう言うと、二人は立ち上がってリンタロウに礼をした後扉の向こうへ消えた。
まあ、ア〇雪の女王様みたいな異能力だと思ってもらえると。 あ、あれより精度の高いものね。→←可憐ちゃんと赤城
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なすび(プロフ) - りとのおへやさん» 有難うございます！ これからもそう言っていただけるよう、頑張りますね！ (2019年6月2日 21時) (
レス) id: 6cdc79c834 (このIDを非表示/違反報告)
りとのおへや(プロフ) - めちゃめちゃ良かったです！中也オチマジで神!!!本当に、こんな神作品を読ませていただけて感謝しかないです！ (2019年6月2日 20時) (レス) id: 534e38ce7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なすび | 作成日時：2019年1月30日 21時
