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再会 ページ21

目当ての人を探して街を歩いているのだが、さっきからよく解らん視線が集まってイライラする。

 何というか、下品な感じの視線だ。

『何でこんなに見られてるんだ』

 むしゃくしゃしながら歩いていれば、特徴的な赤毛を発見した。

 あれが憐君とはね・・・。 昔はあんなにチャラくなかったのに。

 そんなことを思いながら、小走りで近寄っていく。 周りには複数のクラスの女の子たちがいたが、取り敢えず私に気が付いてもらえないだろうか。

『れん、くん?』

  声が届くだろうという辺りで名前を呼べば、ハッと顔を上げて足を止め、何かを探すような仕草をした後に、私のところで視線を止め、驚きに目を見開いた。

「Aちゃん?」

  周りの女の子たちは、その様子に頬を膨らませていた。 そして、私のほうを見て 氷木さん? と、不思議そうにしていた。

「氷木さん、その恰好は? ていうか、憐君のことそんな風に呼んでたっけ?」

  もっともな疑問を取り敢えずは無視して、様子を窺う。

「Aちゃんなの!?」

  女の子の集団から出てきて、勢いよく肩を掴まれて揺すぶられる。 道のど真ん中での出来事なので、道行く人々は面白そうに、でも関わらないように私たちを避けて歩いて行く。

『ス、ストップ。 憐君なの?』

「そうだよ! 憐だよ!」

  揺さぶりが止まったかと思えば、今度はギュッと抱きしめられた。 その力の込め方からは憐君の気持ちが痛い程・・・。 実際に痛いのだが、伝わってきた。

「今まで何処で何をしてたの? 急に居なくなるなんて酷いよ・・・。 俺、いや、僕はずっと君のことを想ってたんだよ。 君のことを忘れたことなんて一度もなかった」

『ごめんね、憐君』

  これは心からの謝罪の言葉。 憐君はこんなに想っていてくれたというのに。

「良いよ、またこうして会えたんだし。

  僕、二十歳までに君を見つけられなかったら他の人と結婚させられるって言われて。 でも、僕は君と結婚したいから! 一生懸命今まで探してたんだ・・・」

  その言葉に、疑問が湧く。

『の割には・・・随分とチャラ男生活送ってない?』

「それは! 君を探すために人脈を広げて、色んな情報を集めていたんだ・・・」

  元々の性格はもっと大人しくて引っ込み思案だったのに、頑張ったんだなぁ。

『有り難う、憐君。 本当に有り難う・・・』

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なすび(プロフ) - りとのおへやさん» 有難うございます!  これからもそう言っていただけるよう、頑張りますね! (2019年6月2日 21時) (レス) id: 6cdc79c834 (このIDを非表示/違反報告)
りとのおへや(プロフ) - めちゃめちゃ良かったです!中也オチマジで神!!!本当に、こんな神作品を読ませていただけて感謝しかないです! (2019年6月2日 20時) (レス) id: 534e38ce7a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なすび | 作成日時:2019年1月30日 21時

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