第六十五話 憤怒 ページ12
憤怒……激しく怒ること。ただならぬ怒り。
ーーー
魔王のペンダントが青色に変わり、赤色の瞳が青色に変化する。
だが瞳には光がなく、虚無ののぞいているのかと思うほどの深淵。
その姿はまるで………かつての誰かを思い出す。
創造魔法「オーラ」が常時発動であり、誰も動くことができずにいる。
敵味方含め、魔王の様子をただ見ることしかできなかった。
まさに、神話にも伝えられる魔王の覇気である。
『ゼンイン…キエロ』
魔王の手から青い炎が燃え上がり、それが敵に向かって放たれる。
それはまさに地獄の光景である。
灼熱の炎がじりじりと身を焦がし、もだえ苦しみながら身体が少しずつ灰と化していく。
次第に魔物達の叫び声が辺り一帯に鳴り響く。
だがそれすらも、炎が燃える音によってかき消されていく。助けを呼ぶ声も、塵となっていく。
魔王はその炎に何も思うこともなく進んでいく。
向かう先はゴブリンの魔王。
ゴブリンの魔王のところだけ、綺麗に炎が避けている。
ただただゴブリンは、魔王に恐怖するしかなく、慈悲をこうた。
魔王はその様子を見て、ここ最近で一番の笑みを浮かべ
胸の辺りに槍を突き刺した。
ひねりを加え、いきよいよく引っ張り出した槍のさきに、紫色の結晶のようなものが突き刺さっていた。
魔王はそれに触れると、結晶が割れ、紫色の光となってペンダントに吸収された。
『………ゴウヨク』
生き残った反抗軍も、きていた兵士も散りじりとなって逃げ惑う。
魔王の怒りの矛先は反抗軍ではない。
その虚無の瞳の先は………人間の町が写っていた。
『ユルサナイ、チャントオカエシシヨウ』
自身の中の憤りと怒りに身を任せ、ただひたすら暴虐の限りを尽くそうとした。
sho「「
いつの間にか近くまできていたシャオロンが魔王の背中に触れると、黄色の光が魔王を包み込む。
自身の中に燃え上がっていた憤怒の炎が急速に静まり、ペンダントと瞳の色は次第に元の色に戻っていく。
sho「……今度は、ちゃんと導けたよ」
そう言ったシャオロンは、スキルの使いすぎと体力の消耗によりバタリと倒れこんだ。
私の意識が目覚めたのは、そうした地獄絵図が終わったあとだった。
『……は………は？いま、のは』
後ろを振り返ると、まだ青色の炎が残っており、せっかくの野原が地面剥き出しになっていた。
そして目に写ったのは、倒れこんだシャオさんとエミさんだった。
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翡翠琥珀@カリナと咲(プロフ) - 八十話程なのに読んでみると百話以上読んだ後のような満足感がありました！すごいです！ (2022年6月8日 13時) (
レス) id: cceed3ce75 (このIDを非表示/違反報告)
狐(プロフ) - 投稿楽しみです！頑張ってください！ (2020年1月29日 20時) (レス) id: 96285177cb (このIDを非表示/違反報告)
カリー(プロフ) - さんさんのさんさん» ありがとうございます！すんごい亀更新だけど少しずつ頑張りますので応援してやってください(上から目線ですみません) (2019年12月21日 14時) (レス) id: de4e6bf21c (このIDを非表示/違反報告)
さんさんのさん - わ、面白いです！内容とか設定が他にはないような設定で、しかも好みです！これからも更新頑張ってください、応援してます！ (2019年12月21日 0時) (レス) id: 8be9f99a12 (このIDを非表示/違反報告)
カリー(プロフ) - タンザナイトさん» ありがとうござます！いつまで続くか分かりませんがこれからも更新頑張ります！ (2019年11月18日 16時) (レス) id: de4e6bf21c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kurry | 作成日時：2019年11月14日 22時
