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56.プール ページ9

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「よぉ、サボりか?」




日の光に当てらてキラキラ輝く短髪の髪。




がっしりした肩から腕のラインにうっとりと見惚れてしまう。





「い、は、はじめ君!?」






そこにはプールの授業中と思われる一君が、フェンスに少し身を乗り出しながら、こちらを向いて笑っていた。





水の粒を髪に湛えて、バレーボールで鍛えられた腕や肩を惜しげもなく太陽に晒す彼が。




これが俗に言う『水も滴るいい男』というものかと、あまりの刺激に現実逃避を選んだ私の脳みそが言っている。





ヤバい。




かっこいい。





死んじゃいそう。





じゃなくて!




遠くに飛びそうな意識を無理やり引っ掴んで戻し、ブンブン顔を振りながら一君と対峙する。



頑張れ私、倒れるのはまだ早い!!





「さ、サボってないし!ちゃんとした休憩!もう自分のタイム測り終わったし!」




必死に平静を装って吐き出した声は、緊張とときめきで上ずってじまった。





「あーやし。お前運動からっきしだからな」






そうやって笑う彼は、顔が逆光でかげっているはずなのに白い歯が覗いて、いたずらっ子の様だ。


小学生の時の一君と一緒。




「うるさーい!暑いんだもん!バテるよ普通」

「プール選べば良かったじゃねぇか。気持ちいぞ」




そう言って彼は手に残っていた雫をこちらに弾き飛ばしてくる。





その水滴は確かに冷たくて、想像だけでも気持ちよさそうだ。




私だって本当はプールを選びたかった。



だってクラスは違えど体育の合同クラスになれたのに。



プール以外は男女バラバラで時間は同じだけど種目が被ることは無いのに、このプールだけは男女共にできる。



そんなチャンス中々ない。



だがしかし。



私は泳げないのだ。



なんだったら、プールにすら行ったことが無い。




小学生の時は、男女混合のプール、かつ男性教諭の監督はあり得ないと母がモンペとして乗り込み、あんまりにもヒステリーに叫ぶものだから私は見学が許された。




進学した中学校は超が付くほどのお嬢様校。



プールは無く、夏は冷暖房完備の体育館で新体操か創作ダンスだった。



つまり、この歳になってお恥ずかしながら、私は全く泳げない。



なんなら浮き方も知らないし、入り方も分からない。



そう、カナヅチなんてレベルではないのだ。




プールさん初めましてなんて、他の人に見られたくない。





一君になんてもっと見せられない。

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白米 - 夢主ちゃんの初々しさが可愛すぎて、岩泉くんがイケメンすぎて、キュンキュンが止まらないです! 言葉選びもとっても素敵で好きが溢れ出します! (2023年1月28日 13時) (レス) @page21 id: c47ed55b6d (このIDを非表示/違反報告)
あおい亜緒(プロフ) - 素敵すぎます、更新待ってます^^ (2021年11月29日 7時) (レス) @page5 id: 4763f9e9c3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:結城 | 作成日時:2021年10月3日 23時

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