特異点 F その2 出会い ページ7
｢なるほど。所長は、こうして奇蹟的に生き残り、敵から身を隠していたと｣
｢そういう事よ。………どうやら、私と貴女だけね。生き残ってるのは｣
マジかぁ………先輩……マシュ…。
すると、何処からともなく矢が飛んできた。
｢所長！！｣
｢へっ？何よ！！？？危なっ！！矢？何処から！！？？｣
｢下がって！！｣
何処からだ？一生懸命目を凝らす。
｢ほぅ。勇敢なお嬢さんだな。だが、その勇敢さが時には無謀となる。よく、覚えていたまえ｣
｢！？｣
声がする方を振り向くと、男の人が立っていた。
黒い、モヤモヤした何かを体に漂わせながら。
｢さて、ではすまないが死んでもらおう。…………女性をあまり手には掛けたくはないのだかね｣
すると、何処から出したのか1対の白と黒の剣を構えた。
あ、やばい。死ぬ。
そう、感じた。
こうなったら、所長だけでも………！
｢所長…！出来るだけ時間を稼ぎます！！そのうちに！｣
｢なっ………！？貴女は！？あなたはどうするの！？｣
｢良いから！早く！！｣
と、怒鳴りながら傍に落ちていた程よく尖った鉄パイプを構える。
剣道有段者の兄に習ったんだぞ！不審者相手には、効果抜群なんだぞ！！かかってこい！ゴルァ！！
｢ハァ……全く、君といい……私が出会う女性は気が強いな…｣
気圧されないように、必死に睨む。
目を逸らしたら、殺される。
そう感じた。
｢ッハハハ！！良いくそ度胸じゃねえか！！そこのお嬢ちゃん！！そうだな！女は度胸が無くちゃあな！｣
と、どこからか笑い声が聞こえた。
すると、一瞬で視界が淡い青色………どちらかというと空色に近い青に包まれる。
｢っ…おい！待ちたまえ！キャスター！！｣
｢やぁーなこった。じゃあな！せいぜい小さい王様の忠犬役でも演じてな！｣
と、ヒョイっと体が地面から浮き上がる。
そのまま、すごい速度で声の人は私を担いで黒い人から離れていった。
ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ
｢所長！探しましたよ！生きてらっしゃったんですね！｣
｢マシュ……良かった貴女も生きてたのね…そして…もう1人……居眠り君｣
｢所長。俺の名前は居眠り君じゃないです。藤丸立香です。覚えて！！｣
｢しょうがないじゃない！！私の話の最中に寝るなんて！！失礼にも程があるわ！！｣
先程必死の形相で走って来た所長を合流、保護したのが10分前である。
未だにAは見つからなかった。
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作者名：キーリア | 作成日時：2016年10月2日 21時
