死界魔霧都市 ロンドン 期待 ページ38
｢ねぇ、フラン。ホントに、バベッジ博士の所に行ってるの？これ｣
｢うー…｣
と、困った様にフランは顔を俯かせた。
｢フラン。言い難いのか？オッサンに何があったんだ？｣
｢うぁー…うー、うー｣
｢やはり、言い難いのですね｣
と、マシュとモーさんがフランに話しかける。しばらく3人にしてあげようと思い少し離れて立香先輩と話をする。
『ねぇ、Aフランの言ってること分かる？』
｢……考えるな、感じろ。としか言いようがないです｣
『成程、お前も詳細までは分かってないのか』
｢だいたい、モーさんとマシュが通訳してくれるから大丈夫大丈夫｣
と、辺りを警戒する。この区域に入ってから、妙に霧が濃いしヘルスターの数も多い。
油断したら、一寸先は霧なので途端に迷子だ。
｢筋肉痛…痛い…｣
『まさか、アンデルセン抱えて走るなんてなかなか無い体験だよね』
と、茶化して先輩が言う。帰ったら、絶対2日有給貰って死んだ様に眠ろう。それがいい。疲労が半端ないな…。
ふと、ガシャンと音がした。
窓でも割れたのだろうかと、思い振り返る。
途端に、背中に何かを打ち付けられ、吹き飛び、近くの川にダイブする。
｢先輩！？何が！？｣
マシュが慌ててこちらに駆け寄ってくる。
うまく息が出来ない。おそらく、打ち付けられた時に肺の中の空気がどっか行ってしまったらしい。
沈む。水面に向かって、手を伸ばす。
嫌だ。こんな所で終われない。終わってはいけない。
必死にもがく。だけど、水は重く。どんどん沈んでいく。
嫌だ。まだ、終われない。まだ、まだ！
誰か！！！
｢全く、阿呆な奴よな｣
と、呆れた良く耳に響く声が聞こえた。すると、一気に引き上げられる。
｢ゴホッゴホッ……うっ…ゲホッ！！｣
｢興が乗った。雑種。貴様案外面白いではないか｣
｢………王様…？｣
｢力を貸してやろう。我を使いこなせたらの話だがな｣
と、紅い紅蓮の目がこちらを品定めする様に私を見据える。
ギルガメッシュ………最古の英雄にして、王である。
あぁ、そうか。この人は、私を自分にとって面白い存在かどうかを見ていた訳か。
｢…分かりました。そのご期待に必ずや応えましょう…王様…！｣
｢良い返事だ！雑種！さて、では手始めにこの不躾な輩共から始末しよう｣
地面に下ろされる。
そうだ、まだ諦めるには早い。早すぎる。
敵を見据える。
横で王様が不敵に笑ったのが見えた。
｢反撃だ！構えろ！！｣
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作者名：キーリア | 作成日時：2016年10月2日 21時
