転生したら転スラの世界だった！？Fifth (ページ37)

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御伽噺ページ37

あっ。

あれはエレン達だ。

ｶﾊﾞﾙ「──旦那、すまない。遅くなった」
ｷﾞﾄﾞ「リムルの旦那、あの、その、何て言ったらいいでやんすか…」

そう声が掛かると、凛は起き上がった。

三人は、何故私──今は凛か──がリムルに起こされて居たのかは、気にしない事にしたみたい。

ｴﾚﾝ「…Aちゃん、リムルさん、あのねぇ……。可能性は低いけど…。
　ううん、ゼロに等しいと思うけど、幾つかあるのよぅ、死者が蘇生したと言う御伽噺が──」

御伽噺、か。

私は、凛の近くに寄ると、その蒼い目をじっと見詰めた。

見えて居るのなら、伝わるだろうと思って。

すると、小さく頷かれた気がした。

伝わった、のかな。

とにかく今の私には、凛に教える以外出来る事は無い。

何故か凛にだけ、意志の疎通が可能なのだけどね。

ﾘﾑﾙ「詳しく聞かせてくれるよな、エレン」

リムルがエレンに言うと、エレンは頷いた。

エレンはゆったりと、御伽噺について話し始める。

それは、まだ世界が若かりし頃。

この世界に四体のみ存在する竜種の最初の一体が、大地にて人間と交わった。

母親となった人間は、程なくして国を去ったが、理由はもう誰も知らない。

やがてその子供は、母のような愛らしい顔立ちの少女へと育つ。

母は面影として鏡の中にだけ残った。

少女が受け継いだのは、それだけでは無かった。

古の竜種は、我が子に力の大半を譲渡したのである。

少女は、知らずの内に父の強大な力も宿して居たのだ。

竜種は、自分に残された全ての力を結晶化させて、自分の分身とも言える子竜を生み出した。

そして子竜を我が子──竜皇女へと贈ったのだ。

幼い竜皇女は、子竜と仲良くなり、姉弟のように寝食を共にした。

しかし、永遠に続くと思われた平穏な生活は、突然終わりを告げた。

栄華を極めた魔法大国が、竜皇女を支配しようと、子竜を手に掛けたのだ。

竜皇女は嘆き悲しみ、怒りと共に、手を下した国家を消滅させた。

父より受け継いだその力によって、民は絶え、兵は霧散し、栄華は過去の物となった。

望んだ訳では無かった十数万の命を生贄に、竜皇女は魔王へ進化する。

その時、奇跡が起きた。

子竜は少女の進化に伴い、死して尚進化したのだ。

しかし、そこで奇跡は終了だった。

死と同時に魂を失った子竜は、意思の無い混沌竜(カオスドラゴン)となったのだ。

竜皇女は嘆きつつも、友の亡骸を封印する事になる。

物語は、そこで終わって居た。