転生したら転スラの世界だった！？Fifth (ページ36)

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先生の面影ページ36

…

ふと、目を覚ます。

随分と永く眠って居たようだ。

何故か生きて居る事に疑問を抱く──が、とにかく体に力を巡らせる。

『ぅ…』
??「！！」

高速で抱き起こされ、少し頭がぐらつく。

その反動で瞼を開ければ、朧気ながら銀色が見えた。

ピントが合わず、繰り返し瞬きをする。

抱えて居るのは…シズ先生の物に似た仮面を被る人。

何時もであれば、直ぐに別人だと気付いた筈だったが、警戒心も無く呼んでしまった。

『せ…んせ…ぃ？』

最後が小さくなってしまったが、私はそれ以前に驚く。

この私が、誰かを間違えるだなんて。

??「Aっ！！」

名前(・・)を呼ばれて、仮面の人を見詰める。

と、その頭上には、何やら面倒そうな結界が張られて居た。

『此処は…』

一体、何処だろうか。

私の知る限りでは、周囲に映る建造物はこの世界では無かった筈。

つまり、新しく造られた場所だろう。

しかし何故、日本のような技術が用いられた所に放火され、破壊されて居るのかが不思議だ。

??「魔国連邦(テンペスト)だよ、大丈夫だったか、A？」

──違う。

私は、私の名前は、Aでは無い。

この人の事も、誰だか判らないのだ。

それなのに…どうして嬉しいと感じるのだろうか。

まずは聞かなければならない。

『…あんたは？』

呼んだ瞬間、気のせいか罪悪感が芽生えた。

??「え…？」

仮面越しに動揺が伝わって来る。

いたたまれなくなって、改めて目の前を確認して見た。

銀髪の隣に、ふと気配を感じる。

寝起きでも頭脳明晰だった私は、直ぐに答えを導き出した。

『…あぁ、ごめん』

乃愛、そこに居たんだ。

しかも、私が此処に居るって事は、もしかして…。

──そう言う事なのだろう。

??「なあ、お前は？」

私からしたら、先に名乗るのが礼儀だと思うのだけど。

まあ、仕方無い。

助けて貰ったような物なので、こちらから名乗るとしよう。

『…私、は』

ふと、思い留まる。

もしも、この仮面の人が乃愛を知って居たら、どうだろうか？

そう、私の最後の旅の目的は、乃愛を探す事。

だからシズ先生に付いて行ったのだ。

名前よりも、情報を聞きたい。

目を直接合わせずに、気になって居る事を聞く。

『──いや、それよりも。乃愛と言う人をご存知で？』

シズ先生に似た仮面、それは、シズ先生と何かしらの関係があるのかも知れない。

そうやって、私らしくなく希望に縋った。