転生したら転スラの世界だった！？third (ページ16)

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紅葉型茹で人参ページ16

紅丸side

A様が帰って来た。

突然俺の影から出て来たせいで、驚いてしまった。

その時、A様がお詫びとして、人参を差し出してくれた。

生憎俺は人参が苦手だ、A様が言った通り、朱菜に渡して置こう。

俺の近くに居た蒼影が、俺の握っている人参をじっと見ているが、まあ良いだろう。

早速朱菜の居る所へ向かう。

朱「あら、どうされたのですか？お兄様」

何か良い事でもあったのか、朱菜はニコニコしている。

紅「A様から人参を貰ったんだが…」

すると、朱菜は驚きもせずに、人参を受け取った。

朱「まあ、A様からの人参ですか？判りました！ちょっと待ってて下さい！お兄様！」

効果音が付く程明るい表情をして朱菜が奥に進んで行った。

それと同時に、蒼影が俺の影からやってきた。

その顔もニヤニヤとしている。

何か可笑しくね！？

嫌な予感がする俺を置いて、朱菜が来た。

朱「どうぞ！食べたかったんですよね！お兄様」

そう言って差し出されたのは、紅葉型の茹で人参だった。

まんまかよ！？

朱菜の隣に居るA様がニコニコしている。

これは一種の嫌がらせか！？

それとも知らないで渡したのか！？

いや、A様の笑い具合から見て、絶対知っていただろう。

『あれ？人参苦手だったっけ？』

A様は、知って居ながらも演技を続ける。

朱「ちゃんと食べてくださいね？お兄様？」

これは逃げられない！

蒼影がニヤニヤしていた理由が良く解った。

そこへ白老がやってきた。

すると、A様がすかさず白老に言った。

『あっ白老、紅丸がこの人参さん(・・)食べたくないんだって～』

A様は茹で人参を指差しながら白老に言う。

一瞬で白老の目が光る。

白「成る程、若にはもっと修行が必要だと言う事ですな？」

待て待て、これが狙いか！？A様！？

『そう言う事！この人参さんを食べないなら、それ位は必要だよね！」

俺の良く解らない話をしていて、俺は焦った。

紅「わ、分かった、分かりました！食べますよちゃんと！」

慌てて、でも少しずつ食べ始める俺を見て、朱菜はびっくりしている。

朱「まさか本当に…」
『よし』

作戦通りと言うように、A様が言った。

実際にそう言う悪戯だったんだろう。

白老が、俺の減り行く人参を見つめて、呟いた。

白「儂も食べようかのぉ？」
『あ、それならこれあげる。御饅頭だよ』

食べきったら紅丸にもあげるよ、と言われ、加速する俺だった。