変わらないで ページ3
風に揺られて、サラサラと流れる焦げ茶の髪。
せっかく街並みが見られるけど、それを見るためにここにきた訳じゃない。
この世界で紙を持ってなんていたら、観光客がびっくりするからね。
隣に魔法陣が構築され、今度は青みがかった銀髪の者が現れた。
ﾘﾑﾙ「お、先客がいたか」
爽やかに笑ったリムルは、私の隣に座った。
『わかってたでしょ？』
ﾘﾑﾙ「ちぇ、バレたか」
そうやって笑い合って、また沈黙が訪れる。
急かしているかのような風が吹いた。
ﾘﾑﾙ「それ、写真か？」
リムルが、私の持っていた写真に気が付いたらしい。
黙って頷いて、私は少し前世を話す。
『小学校に入ってから少し経った時のだよ。何であったのか不思議だけどね』
これは、私が転生した時からポケットにあった写真だ。
倒れてたって聞くけど、それでもこれだけは綺麗だった。
本当に不思議で、これについては『希願之王』も答えてくれない。
《…………》
ﾘﾑﾙ「隣の子は？」
リムルは写真を食い入るように見ながら、私に問い掛けてくる。
『うん、凄く仲が良かったんだけどね』
理由は分からない。
三年生になった時位かな……何も言わずに、いなくなった。
前日の帰り道は、一緒だったのに。
次の日から、忽然と学校に来なくなってしまった。
それから──それから……色んな大人が探したけど、どこにもいなかった。
ﾘﾑﾙ「……そうか、ごめん」
『ううん、大丈夫』
リムルのせいじゃないから。
でも、こうして写真を眺めていると、私も中身だけは変わっていない。
もしもまた、会えたら。
きっと、変わらないでいてね……。
ずーっと会ってないけど、話したいことがたくさんあるからさ。
──でもまあ、何年も顔を見ていないから、実際分からないかもしれないけど。
ﾘﾑﾙ「右がAか？ めちゃくちゃ真顔だけど」
『いや、私は左だよ』
ﾘﾑﾙ「ん？ だって見た目的に……んんー？」
『今の見た目からは似てるけど、私はこっちだよ』
だよね、『希願之王』？
《…………》
……え？
大丈夫？
『希願之王』？
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作者名：くろわっ | 作成日時：2020年10月12日 19時
