転生したら転スラの世界だった！？番外 (ページ12)

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叶えるためにページ12

凛さんに呼び止められて、俺は広場に留まって居た。

『シズ先生はリムルの中に居る、そう言ったね？』

不思議だ。

今にも怒りが爆発しそうだったのに、この人といると冷静になって来る。

──似てる、からか。

ﾘﾑﾙ「ああ、そうだ」
『そう』

暫し目を瞑って、何かを考える素振りを見せた凛さん。

『それじゃあ、もう一つ』

今度は俺を真っ直ぐ見詰めて、俺の苦しい部分を突いて来た。

『乃愛は？』
ﾘﾑﾙ「…………」

まだ俺でも認められなくて、自然と俯いてしまう。

早く答えなければ。

そう思うのに、言葉を飲み込んで中々言えない。

『……判った』

声が聞こえて顔を上げると、頭を抱えながら俺に向けて凛さんが前に来る。

『生憎、乃愛の記憶は私には無い。そして恐らく、乃愛にも私の記憶は無い』

記憶が無い？

全くの別人がAの身体に宿ったって事か？

Aの別人格的な存在だったら、と考えて居たが……。

『だから、乃愛がどうなったのか、判っていない』

その一言に、最後の希望を折られた気分になった。

そよそよと風が吹き、俺と凛さんの髪が揺れる。

『私は本来存在しない。推測だけど、私は別の者としてこの身体に還って来た可能性がある』

待った、それはどう言う……。

還って来た？

ﾘﾑﾙ「……つまり？」
『つまり、元は私の身体だった』

ちょっと待て理解が追いつかない。

『大賢者』！

《解:個体名:凛は、この世界で死に、その代わりとして個体名:Aが宿ったものの、
　何らかの方法を介して戻って来たのだと推測します》

は、死……？

おいおい、冗談はよせよ。

《…………》

解ってる、俺も考えないといけないって。

『……私が乃愛を知って居るのは、元々知り合いだったからだ』

知り合い……。

凛さんだったら、Aの為に協力してくれるのだろうか？

『さっきの話で、リムルがやりたい事は概ね理解したつもりだ。乃愛も、それを望むだろう』

その話を、俺は黙って聞いているだけしか出来なかった。

『だから、乃愛を戻すためにリムルに協力しよう』
ﾘﾑﾙ「凛さんは？」
『……さあ』

わからない、か。

自身を捧げてまでも、か……。

俺は誰かの為に、誰かを殺せるだろうか？

いや、違うな。

いざとなったら、そう出来なければならないのだ。

そして、今日も。

逃げているだけでは、駄目だ。

ﾘﾑﾙ「ありがとな」

そろそろ、覚悟を決めよう。