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期待した返事 ページ38

リムルside



最後まで渋っていたが、もうそんな事も言っていられない。

どうにか数ヶ月に一回以上の帰還を取り付けて、俺と同じ立場になってもらった。

無理難題だと思っていたのに了承したので、そうまでしても旅立つつもりのようだ。

ついでに仮面で顔を隠すように言うと、もともとそのつもりだったらしい。

抗魔の仮面ならば、増える魔素量(エネルギー)の制御を手助けしてくれると踏んだようだ。

俺としてはAが美人だから、下手に顔出ししてほしくないだけで言ったのだが……。

まあ、それはいいとして。

戦後の会議も出席してもらえることになった。

Aの言い分も一理あってしまうので、俺の中の妥協点になんとか収まったな。

これ以上考えは変えてくれないだろうけど……言うならば、今だと思う。

だって、今は俺達以外に誰もいない。

《…………》

…………。

直接言うのは躊躇われた、だから──。

リムル「──月が、綺麗ですね」

言い切ったと同時に、達成感と不安がこみ上げる。

この言葉に乗せた意味が、伝わらないかもしれない。

そうしたら、俺がもう一度言うためには、もっと時間が必要だろう。

次会うときか、はたまた──。

『……あ、本当だ』

明け方の空の、沈みかけた月を見てそう言った。

本当に月を見ているってことは、多分伝わってない、か。

リムル「……だろ?」

ぎこちなく言葉を返す。

残念だが、また次の機会に──と思った矢先、Aが首を傾げた。

『ん……? 待って、それって』

もしかして──と、独り言のように呟き、俺の方を見る。

あれ、伝わった……か?

目を合わせると、Aの目が揺らいでいた。

リムル「……ああ」

肯定してしまったからには、撤回できない。

Aは黙り込んで、暫くの間ずっと目を泳がせた。

そしてぐっと目を瞑った後、おもむろに目を開けてこちらを見る。

『……あのね、えっと──ずっと前から、綺麗だったよ』
リムル「え……」

Aの返事に、返す言葉を失った。

その言葉を、俺の気持ちの後に言うってことはだ。

期待しても、いいってことだよな?

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くろわっ(プロフ) - AIさん» いつもご愛読ありがとうございます!とても嬉しいです!もう3に行きそうですが、これからも宜しくお願いします! (2020年8月16日 14時) (レス) id: 802b77c97d (このIDを非表示/違反報告)
AI(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いてます!これからも頑張って下さい! (2020年8月16日 14時) (レス) id: 70828d2268 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:くろわっ | 作成日時:2020年7月9日 16時

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