逃避行 ページ34
リムルside
俺は駆け足で、紅丸達の所へ向かった。
リムル「紅丸!」
紅丸が近寄ってくる。
紅「リムル様!」
リムル「A、Aはどこだ?」
頼み込むように紅丸に問うた。
紅「それが……A様、出かけると言って森に──」
俺達で止められず、申し訳ありません──と謝罪してくれた。
ああ……遅かった。
いや待てよ?
もしかしたら街に戻っていて、まだ間に合うかも知れない。
そうだ、Aの物はほとんど街においてある。
最後の望みに賭けて、俺は紅丸に言った。
リムル「俺、探してくるよ」
このタイミングで俺の気持ちを言うのは卑怯とか、知るか。
そんな俺の思いが通じたのだろうか、間を空けず紅丸は答えた。
紅「わかりました。我々は?」
リムル「待っててくれ、すぐ戻る」
返事も待たずにそれだけ残し、俺は『影移動』した。
Aside
私物の回収のために、街に着いた。
帰ってきたらこの街の住民達が、手厚く歓迎しようと張り切っていた。
私が帰ってきたことで、大慌てで準備を進めようとしてくれたけど、帰ったのは私のみ。
勝ったことを伝えてから、ゆっくりでいいと言っておいた。
自分の仮屋に入って、旅立つ準備をする。
シズさんの物と、あとは……必要最低限の生活用品。
あんまりごっそり持って行ったら申し訳ないから、少しの食事位。
大体これ位で大丈夫だろうし──。
最後に置き手紙、かな。
この世界だと紙が貴重なので、『妄想者』で作っちゃおう。
魔素から紙とシャーペンを作って、紙に文字を書く。
時間がないので、
唯一読めるリムルがどうにか、心配かけないようにしてくれると思いたい。
文字を書き終えると、すばやく机に置く。
『これで、もう思い残す事は──』
──無い。
最後まで残っていた名残惜しさを無視するために呟きかけた時、後ろから声が掛かる。
リムル「待てAっ!!」
やばい、そう思ったと同時に体が動く。
『影移動』でリムルの影に潜り、戸惑った瞬間を狙って扉を開く。
外に飛び出して飛行魔法で宙に浮いて、ブルムンド王国の方向へ飛び去る。
ここまでの補助とブルムンドまでの案内は、大賢人がやってくれた。
だんだん遠くなっていく街並みを背に、真っ直ぐ森から離れる。
『さようなら──』
──
それは、後に決まる街の名前。
『魔力感知』のおかげで、視界は良好だった。
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くろわっ(プロフ) - AIさん» いつもご愛読ありがとうございます!とても嬉しいです!もう3に行きそうですが、これからも宜しくお願いします! (2020年8月16日 14時) (レス) id: 802b77c97d (このIDを非表示/違反報告)
AI(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いてます!これからも頑張って下さい! (2020年8月16日 14時) (レス) id: 70828d2268 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くろわっ | 作成日時:2020年7月9日 16時