最初の命令 ページ33
リムルとゲルドがお互いを取り込みあっている間に、紅丸達の所へ歩く。
紅「A様!」
紅丸、紫苑、蒼影に白老。
全員が、私に寄って来てくれた。
私を気遣ってくれているのが伝わって、嬉しくも寂しい。
『少し、出かけてくるね』
紅「いやいやいや、ちょっと待ってくださいよ」
白「ほっほっほ、冗談がきついですな」
紫「A様、せめてリムル様が勝利するのを見届けてからにしてくださいね」
蒼「……本気ですか?」
何も言わないのはな、と思って気軽に言ってみたのだけど……。
ここまで綺麗に止められると、流されそう。
……だけど、リムルが私を止められない状況は今しかない。
──また彼に反対されれば、きっと私は先送りにする。
考え無しじゃないことを分かってもらおう。
笑みを消し、呆れ気味なみんなをじっと見つめる。
いつもこんな風に我が儘を通してごめんね。
申し訳ない気持で一杯になって、ちょっと目が潤んだ。
意図せずその効果は劇的だったらしい。
紅丸が慌てふためき、蒼影は驚いて硬直し、紫苑の
白老には、涙目になる前の私の真面目な表情に、何か思うことがあったらしい。
紫「わ、分かりましたからA様! 泣かないでください!!」
白「……ふむ。何かお考えがあるのですな?」
紫苑をなだめて離れながら、白老の言葉に黙って頷いた。
蒼「それなら護衛を──」
『ううん、それはいい』
悪目立ちすると良くないと思って断ると、紅丸が溜め息混じりに言った。
紅「……早めに戻ってくださいね」
うん、とは言えず、笑顔を見せて背を向けた。
私は一言、最初の命令を告げる。
『リムルを宜しく』
「「「「「──!」」」」」
『行ってくるよ』
『愛頼者』を全力で使い、私を止めることを許さない。
みんなが圧されている間に、私は歩き出した。
その時私の背後で、丁度ゲルドが捕食される。
でも、振り返ることはできない。
瞬きの度に、留めきれなかった雫が弾けたから。
そんな視界を『魔力感知』で補って、早足で大森林の方向に向かう。
《告。飛行魔法は使用可能です。実行しますか?》
そっか、それがあった。
私は無泳唱で空中に浮かび上がると、スピードを加速させて移動するのだった。
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くろわっ(プロフ) - AIさん» いつもご愛読ありがとうございます!とても嬉しいです!もう3に行きそうですが、これからも宜しくお願いします! (2020年8月16日 14時) (レス) id: 802b77c97d (このIDを非表示/違反報告)
AI(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いてます!これからも頑張って下さい! (2020年8月16日 14時) (レス) id: 70828d2268 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くろわっ | 作成日時:2020年7月9日 16時