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互いのため ページ16

リムル「……もしかして、どこかに行こうって考えてるのか?」

確実に旅に出るとは言っていないのに、リムルが質問を返してきた。

いきなりこんなこと聞いたら、そりゃあ察されちゃうか。

流石の私でも、言われた立場ならその気になっているんだって分かると思う。

いつもより、元気のない声。

寂しいような、悲しいような表情だった。

そんな顔させるつもりはなかったのに──目が潤みそうになる。

慣れるまではカバル達と一緒に冒険して、その後はこの魔素量(エネルギー)問題をどうにかする。

旅の最中で、私のことを見ているらしい誰かを振りきれれば万々歳。

もしできなければずっと──と、大賢人にも協力してもらってせっかく計画を立てたのに。

リムルのこの反応で決心が揺れる。

『……聞いてみたかっただけだよ』

私は、止めてほしかったのかもしれない。

……いや、止めてほしかったから聞いたんだ。

街に迷惑かけない為、リムルの為、私自身の為って、自分に何度言い聞かせても……。

考えてみれば、今まで何の問題もなく話が進んでいたことが奇跡だったと思う。

だから、これ以上未来を変えて最悪な事態にならないように──。

そう、私は未来を知っている。

正しき、一番の未来を。

そんな私は、細かく分かるわけではないけれど……最悪な未来も知っていた。

書籍も揃えておいて、ある意味幸運だったかもしれないな。

肝心の最終巻が発売する前に、こっちに来てしまった訳だけど。

描かれていなかったはずの、何者かからの監視。

少しずつ増え続ける、私の魔素量(エネルギー)

これらは、たとえ全く同じ未来でないにしても、最悪に準ずる影響を与えるかもしれない。

私の問題は、これからを思うなら自分で解決しないといけない。

私の旅立ちは、必要なこと。

リムルに回した手に、力がこもる。

……駄目だ、今は豚頭帝(オークロード)のことに集中しないと……。

みんなその為にここに来ているんだ、と無理矢理思考を切り替えた。

──そうでもしなきゃ、自分の中の本当の気持ちに負けてしまいそうだった。

風の音が強く、辺りの風景の移り変わりが加速していく。

ひんやりした手が、私の手を包んでくれていた。

大激突→←不安



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くろわっ(プロフ) - AIさん» いつもご愛読ありがとうございます!とても嬉しいです!もう3に行きそうですが、これからも宜しくお願いします! (2020年8月16日 14時) (レス) id: 802b77c97d (このIDを非表示/違反報告)
AI(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いてます!これからも頑張って下さい! (2020年8月16日 14時) (レス) id: 70828d2268 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:くろわっ | 作成日時:2020年7月9日 16時

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