全力の拳 ページ48
レオンside
突然ギィに呼びつけられ、向かった先には見知らぬ女がいた。
『初めまして。
仮面を被ったまま喋ったのは、その女の第一声だった。
この場にいる。
その事実こそが、ギィが見出した価値を持つことを物語っている。
レオン「呼び方などどうでもいい。何の用だ?」
『大したことではありません。一発、私に殴られてくれませんか?』
何かと思えば、意味不明な提案をしてくる。
レオン「断る。殴られる道理などない」
『……そうですか。残念です』
俺が断ったのは想定内だったらしく、どうやらこちらのことは知られているようだ。
そして次の言葉が、俺に一考の余地を与えた。
『私は予言者なんですけれどね』
そう言いつつ俺の顔を流し見ているが、ギィやヴェルザードも特に否定はしない。
嘘ではないし、ギィも知っているというのか。
非常に心外ではあるが、可能性の少しでも取り入れておくべきか。
レオン「……なるほど、好きにしろ」
わざと結界を解き、女の反応を待つ。
答えを聞いてから、じゃあ遠慮なくと言うかのように動き出した。
こうなる予測もしていたのであれば、やはり只者ではない。
女からすれば、本気の一撃。
『っおらあ!』
気迫の欠片もない上ずった声、それに見合わないほど速い速度で拳を振った。
俺はまともに受ける。
変に避けて情報が得られないのでは意味がない。
結果。
俺の唇を切った。
そう、切ったのだ。
確かに只者ではないと思っていたが、それは力量の話ではない。
この女が人間であることは一目瞭然なのだ。
だが、人間では出来るはずもない。
『うわ……思ったより』
女も驚愕している。
本当に人間なのだろうか。
ギィやヴェルザードも驚きに目を疑っている。
殴った後の沈黙。
それをギィが破った。
ギィ「A、次はお前の実力について話し合おうじゃねーか?」
実際、一部の魔王となら殴り合えそうだ。
『あーいや、もう用事済ませたし……えっと、もう帰る!!』
そんなギィの申し出をいとも容易く断り、そして俺に向き直った。
『……それで、魔王レオンさん。あなたの悲願は……一、二……えっと、十年以内に達成できます』
途中で数字を数えながら、やはり俺の望む情報を寄越してくれた。
更に詳細を聞こうと口を開くと、予言者は転移で消えた。
まるで、追求を許さないかのように。
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くろわっ(プロフ) - AIさん» いつもご愛読ありがとうございます!とても嬉しいです!もう3に行きそうですが、これからも宜しくお願いします! (2020年8月16日 14時) (レス) id: 802b77c97d (このIDを非表示/違反報告)
AI(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いてます!これからも頑張って下さい! (2020年8月16日 14時) (レス) id: 70828d2268 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くろわっ | 作成日時:2020年7月9日 16時