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「わっ、ちょ、うらた先輩だ!生で見るの初めてかも!」
そんな黄色い声を出して頬を赤らめながらうらたを見る女の子に向かってうらたは手を振った。
それに気付いた女の子は「キャー!」と言いながら空へと飛び立った。
恐るべし。たぬきの手振りパワー。
「坂田先輩!これ、頑張って作ってきたんですけど、良かったら食べて下さい!!」
坂田に声を掛けたのは黒髪をおさげにした大人しめな子。
さ「えっ!?くれんの!?マジか!ありがとなぁ!」
「い、いえ!(赤面」
坂田の言葉に赤面した女の子は、クッキーを渡し終わったあと、そそくさと何処かへ行ってしまった。
恐るべし。ワンコの壁無しパワー。
「志麻君!志麻君が勧めてくれた香水かけてきたんだけど、どうかな?」
そう言う女の子からは、その女の子にピッタリな香水の匂いが鼻を掠めた。良い匂いだなぁ。これは薔薇かな。
志麻君はその子を見て目を細めたあと、ばっとその子を抱き締めた。
その驚きの行動に、周りの女の子達は「キャー!!」やら「イヤァー!!」やらなんやらが聞こえた。
対する本人はその女の子からする良い匂いを嗅いでいる。端から見れば、いや、端から見ずとも完璧に変態だ。ナチュラル変態だ。
私はそう思いながら志麻を引き気味に見ていると、満足したのか
「ん、ええんやないの?」
と一言言ったあと、その女の子を解放した。
女の子は完璧に足に力を無くしたのか、ヘロヘロと地面に座った。
恐るべし。ほくろの積極(変態)パワー。
「センラ君!分からないところがあるんだけど、後で教えて貰ってもいいかな?」
セ「ん。別にええよ?でも、ちゃんと自分でやれるところは自分でやるんよ?」
「!うん!」
恐るべし。イケメンのおかんパワー。
「あっ、杞憂先輩!」
恐るべし。たぬきpん?私?
『どう...したの?』
私に話し掛けてきたのは恐らく1年であろう小さめな男の子。
「あの、放課後、ちょっとお話があるんですが、教室に待ってて貰っても宜しいですか?」
『?...うん。別にいいよ?』
私がそう言うと、男の子は顔をパァッと輝かせ、「ありがとうございます!」と言って、先刻の女の子同様そそくさと何処かへ走り去ってしまった。
別に、私は何もやってないんだけどなぁ。なんか照れちゃうね。
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Anna - すごく面白かったです!これからも頑張ってください!! (2018年10月25日 20時) (レス) id: 3a5b83829f (このIDを非表示/違反報告)
猫 - ヤバい…この小説めっちゃ面白い…続きが楽しみ過ぎて夜も寝れない気がする…更新頑張ってください! (2018年10月23日 7時) (レス) id: 7bfe9b6f93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レ=と=ロ | 作成日時:2018年10月21日 21時