【歌い手】僕ら、君の狼。-最後の１匹-

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呟いたことを知らせる通知音が、

無機質に響く。

時刻は１８時丁度…

画面に目を戻すと、Aのツイートが更新されていた。



＠sing_
　 『オレンジ＿歌ってみた【黒白炉】』を投稿しました

＠sing＿
　 一年という短い間だったけれど、皆と歌で繋がれて楽しかった。
　 俺を支えてくれた歌い手の皆にもすごく感謝している。
　 今回の『歌ってみた』は今まで支えてくれたファン、歌い手の皆に、
　 そして一番大切で一番歌声を届けたかった人に、贈ります。



「――――っ！」



―――それじゃ、また会える時まで。

少し長めのツイートはそれで締めくくられていて、

『またな』なんて声が聞こえた気がした。



「これ…お前のことなんだろうな」



『一番大切で一番歌声を届けたかった人』――――

やっぱり、Aは僕のことを嫌いになったんじゃなかった。

ううん、なるはずないんだ。


あの無表情で、いつも冷静で、無気力で、読めなくて――――…

とんでもなく優しくて、可愛いAは。

そんな事、する人じゃない。



「…っ、そらるさん」
「分かってる、席外すから―――」
「そうじゃなくて、一緒に、聞きましょう」



声が震える。

そらるさんは、何も言わずに隣に腰を下ろした。



「Aの大切な人は僕だけじゃなくて、皆です。一緒に、聞きましょう？」
「…ん」



Twitterから、動画サイトのページに飛ぶ。

またもや再生回数が異常な程うなぎのぼりで。

黒白炉の魅力は消えないんだ、って改めて思い知る。

黒白炉が活動をやめたからって、皆の思いは何も変わらない。

寧ろ、黒白炉への好きは強くなって、永遠のものになる。


僕も、ちゃんと黒白炉と、Aと向き合わなくちゃ。


すう、と息を吸って再生をクリックした。

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