【歌い手】僕ら、君の狼。-最後の１匹-

After Loading…　２ ページ17

２年間、というのは結構長い。

Aを見送ってから、そろそろ２年が経つ。

また桜の時期がやって来て、そういえば…

なんて、また色々思い返していた。


そういえば、２年前は色んな人に怒られちゃったな。

久しぶりにネットに復帰したら、それはもう大変だった。


１年前は、やっぱりこの時期になると色々思い出しちゃって。

また挫けてしまいそうになったけど、皆が傍に居てくれた。

１年前のこの時期に投稿した『アカイト』は、

『from Y to Y』に次ぐ傑作。

Aが最後に歌った『オレンジ』もそうだけれど、

僕が最後にMIXした『ヨンジュウナナ』もまた、

Aの気持ちそのものだった。

だから、僕も『アカイト』を歌って。

また会おう、ってもう一度決意したんだよなあ。



――――そんな風に。

今までのことを思い出していた、丁度この時期も。

だから、まさか――――まさかこんなことになるなんて。





「―――っ、A…？」
「『またね』って言ったのは、そっちだろ」



ふっと笑うAが、僕の目の前にいる。

嘘でしょ。きっと、きっと―――――これは夢で、



「…何か言えよ」



恥ずかしそうに僕から目線を逸らすAが、

数年前と重なる。



「…また、会ったね」
「おう」
「―――――――っ、A！」
「う、わ」



ごめん、と呟きながら力いっぱい抱きしめる。

痛かったら、ごめん。苦しかったら、ごめん。

でも、この身体に触れているAが嬉しくて。

ずっと呼びたかった名前を、何度も呼んだ。



「…ほーんと、最後まで焦れったいんだからさあ」
「っ、え…？」



突然声をあげた、るすくん。

そういえば、此処には皆が居て。



「…〜っ」
「もー、まふ君てば。今更恥ずかしがるとか遅いよ？見てる側の気持ちにもなってよね、恥ずかしいんだからさ！！」
「ま、上手く行ったんだからいいんじゃねーの」



天月くんとそらるさんが交互に言う。

…ああ、皆が計画してくれたのかな。

また、数年前みたいに。



「…なあ、真冬」



僕の腕の中から、Aが見上げる。

何度、この夢を描いただろう。

何度、願ったんだろう―――――…



「もう絶対、離すなよ」
「…絶対、離してあげないから」



僕らは、もう一度――――――

歩き出せるよね。


*

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